其程(読み)それほど

精選版 日本国語大辞典 「其程」の意味・読み・例文・類語

それ‐ほど【其程】

〘名〙
物事の状態や様子が、そこに示されているぐらいの程度であること。多く、強調気持をこめて、その物事の状態や程度がはなはだしいこと、この上ないことを表わす。副詞的にも用いる。それくらい。そんなに。
平家(13C前)五「『修行といふはこれ程の大事か』と人にとへば、『それ程ならんには、いかでか命もいくべき』といふあひだに」
② ある物事の程度が、他の関連した物事の程度とほぼ同じであることを表わす。それにふさわしいこと。つり合うこと。それ相応。分相応。副詞的にも用いる。
※本福寺跡書(1560頃)大宮参詣に道幸〈略〉夢相之事「有得の人、十人、廿・卅人の人を扶持するものは、それほどに拍子が相て、首尾調をるぞ」
③ 下に打消の語を伴って、物事の状態や様子が思ったほどではないことを表わす。予期したほど…ではない。あまり…ではない。
太平記(14C後)三「倩平家の乱より以来、大剛の者とて名を古今に揚たる者共を案ずるに、何れも其れ程高名とは覚えず」

その‐ほど【其程】

〘名〙
① ある時期を漠然とさす。その時。そのころ。その時分
蜻蛉(974頃)上「そのほどのありさまはしも、いとあはれに、心ざしあるやうに見えけり」
② ある物事が進行している、その期間。そのあいだ。
平中(965頃)二五「この男は去にける。そのほどに、この女は帰り来て」
③ 少しの時間。わずかのあいだ。
浮世草子・好色盛衰記(1688)一「其程(ソノホド)なく暮て、門しめ時に御機嫌つよく御帰宅有し」
④ (ある場所をさして) その辺。そのあたり。
※浜松中納言(11C中)一「そのほど近く、おもしろきびはの声聞こゆ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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