内田九一(読み)うちだ・くいち

朝日日本歴史人物事典 「内田九一」の解説

内田九一

没年:明治8(1875)
生年弘化1(1844)
幕末明治期の代表的な写真師。長崎生まれ。オランダの医師ポンペが講ずる舎密試験所で化学の基礎を学び,上野彦馬の下で写真術習得。明治1(1868)年大阪に写真館開業し,評判を得て横浜,東京へと進出し,浅草に落ち着く。主要な業績として,宮内省御用達の写真師第1号であったこと,御真影写真を撮った最初の写真師であったことが挙げられる。また各地風物景勝地の撮影にも力量を発揮し,数多く日本紹介アルバムとして輸出された。明治初期の時代の寵児として名を馳せたが,32歳で夭折した。

(平木収)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「内田九一」の解説

内田九一 うちだ-くいち

1844-1875 幕末-明治時代写真家
弘化(こうか)元年生まれ。吉雄圭斎の甥(おい)。長崎でポンペに化学を,上野彦馬から写真術をまなぶ。慶応元年大坂で写真館をひらき,のち横浜・東京で開業。明治5年宮内省御用掛として明治天皇肖像写真を撮影し,有名となった。明治8年2月17日死去。32歳。肥前長崎出身。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の内田九一の言及

【御真影】より

…翌年,断髪した天皇は,今度は洋装での写真を撮られ,それがかなり長期間使用される。ともに当時有名な写真家であった内田九一(くいち)の撮影になる。これらの写真は最初は下付を目的としていたのではないが,たちまち地方官庁,軍隊等々に下付され,それを拝跪する儀礼がおのずと始まっている。…

※「内田九一」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android