円高・円安(読み)えんだかえんやす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「円高・円安」の意味・わかりやすい解説

円高・円安
えんだかえんやす

円高は円の対外価値が高くなることで、逆に円安は円の対外価値が低くなることをいう。一国の通貨の対外価値は外国為替(かわせ)相場に反映される。たとえば1ドル=120円の相場が110円となれば、円の対外価値は1ドルにつき10円高まったことになり、逆に相場が130円となれば10円だけ対外価値が下落したことになる。

 現行変動為替相場制のもとでは、外国為替相場は外国為替の需要供給関係によって変動する。たとえば、貿易収支経常収支赤字となって外国為替の需要が供給を上回る際には円安となり、逆に黒字の場合には円高となる。短期的には資本移動が円高・円安をおこすこともある。円高・円安は輸出入価格を変えて輸出入数量にも影響を及ぼすので、国内経済にも多大の効果を与える。たとえば、円高は輸出価格を引き上げるので輸出取引には不利となり、景気に悪影響を及ぼすが、反面では輸入価格を下げ、物価安定に貢献する。

[土屋六郎]

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百科事典マイペディア 「円高・円安」の意味・わかりやすい解説

円高・円安【えんだか・えんやす】

日本の通貨であるの価値が,外国為替に対して上昇した場合を円高,下落した場合を円安という。特に明記しなければアメリカドルとの関係を指す。例えば1ドルが200円から100円になる時,前者では100円で交換できるのは0.5ドル(50セント)だけだが,後者では1ドルと交換でき,円の価値が上がったことになり,円高である。2008年のアメリカの金融危機世界同時不況なかで,1ドル90円台前半という円高が急激に進行,輸出依然度の高い日本の製造業は大きな打撃を受けた。
→関連項目逆輸入

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