凭・靠・持(読み)もたれ

精選版 日本国語大辞典 「凭・靠・持」の意味・読み・例文・類語

もたれ【凭・靠・持】

〘名〙 (動詞「もたれる(凭)」の連用形の名詞化)
① もたれること。また、もたれるもの。からだをもたせかけるもの。
搦手から(1915)〈長谷川如是閑〉殿さまお目ざめ「夫人は懐しさうに椅子の凭(モタ)れを抱きながら、あどけなく小首を傾げる」
義太夫節で、一段中の最終部分である切(きり)の前の部分。また、それを語る太夫
※東京風俗志(1899‐1902)〈平出鏗二郎〉下「一座は概ね簾内、口語り、口二枚、口三枚、助け場(中軸)、切三、切前、〈一に「もたれ」〉真打と次第す」
相撲で、「かけもたれ」「もたれこみ」などの略。
※大阪穴探(1884)〈堀部朔良〉一一「八角は〈略〉先を取り、仕懸け、這奴が慣手(えて)の『モタレ』を取て、押出し、勝を占めたりとなん」
④ 相場で、人気の出尽した後、大量に買い戻しても相場への影響力が衰え、株価の上昇が望めないような状態。また、これ以上の資金力がなくなった状態。

もた・れる【凭・靠・持】

〘自ラ下一〙 もた・る 〘自ラ下二〙
① 物や人に身体などを寄せかける。寄りかかる。
※為尹千首(1415)雑「岸なだれ岩にもたるるふし松のこれより後は風騒ぐとも」
② 甘えたさまで頼る。また、しつこくつきまとう。
評判記寝物語(1656)一「まづ、すい成男、一度掛る初対面なれば、もたれずふらず」
食物が消化しないで胃の中に滞り、気持悪く感じる。
※俳諧・俳諧新選(1773)三「新米のもたるる腹や穀潰し太祇〉」
④ じゃまになる。差しつかえる。
※当世花詞粋仙人(1832)「じゃまになるのを、もたれる」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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