別・分(読み)わかれ

精選版 日本国語大辞典 「別・分」の意味・読み・例文・類語

わかれ【別・分】

〘名〙 (動詞「わかれる(分)」の連用形の名詞化)
① ある人から離れて立ち去ること。別離
万葉(8C後)一五・三六九五「昔より言ひける言(こと)の韓国の辛くも此処に和可礼(ワカレ)するかも」
古今(905‐914)離別・三八七・詞書「山さきにてわかれ惜しみける所にてよめる」
② 死別すること。
※古今(905‐914)哀傷・八三六「あねの身まかりにける時によめる せをせけばふちとなりてもよどみけりわかれをとむるしがらみぞなき〈壬生忠岑〉」
③ 人の、別れる挨拶。いとまごい。→わかれを告げる
④ 一つのもとから分かれ出たもの。分派分家などの類。わかり。
今昔(1120頃か)二六「加賀の国に御(おは)する熊田の宮と申す社は、我が別れの御する也」
※人情本・春色梅児誉美(1832‐33)四「千葉之助さまの御分知(ワカレ)の、千葉半之丞さまといふおやしきへ」
⑤ その場から立ち去る時、ある事の決着をつけるために心付けなどとして与える金銭。
※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)五「わかれに七百くだんせ」
⑥ 物事に決着がつくこと。終わること。
洒落本・魂胆惣勘定(1754)中「いか程わざを尽したり共、勝負のわかれに成て」
⑦ (分) 取引市場で、損失利益もなく売買を解約することをいう。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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