利・鋭・疾・敏(読み)とし

精選版 日本国語大辞典 「利・鋭・疾・敏」の意味・読み・例文・類語

と・し【利・鋭・疾・敏】

〘形ク〙
① (利・鋭) 鋭い。切れ味がよい。鋭利だ。
万葉(8C後)一一・二四九八「つるぎ大刀諸刃(もろは)の利(とき)に足踏みて死なば死なむよ君によりては」
※霊異記(810‐824)上「夜、銛(トキ)(ほこのさき)に逢はむ。願はくは仙薬を服せ。〈興福寺本訓釈 銛 止支〉」
② (疾・鋭) 勢いがはげしい。強烈だ。いちはやし。
※万葉(8C後)七・一一〇一「ぬば玉の夜さり来れば巻向(まきむく)の川音高しも嵐かも疾(とき)
③ (敏) 覚りが早い。賢い。鋭敏だ。さかし。
※大唐西域記巻十二平安中期点(950頃)「務めて勝福を興す。敏(トク)して学を好む」
※水戸本丙日本紀私記(1678)崇神「識性(たましい)聰敏(トクまします)
④ (疾・捷) 時間的経過の早いさま。また、さかのぼった時点であるさま。素早い。迅速だ。→とく(疾)
書紀(720)仁徳一一年四月(前田本訓)「且、河の水、横さまに逝(なか)れて、流末(かはしり)(トカラ)ず」
源氏(1001‐14頃)橋姫「御返り〈略〉ときをこそ、かかる折にはとて」
[補注](④について) 連用形「とく」には名詞用法もあり、「とう」「とっく」などの変化した形もあるので、別項とした。
と‐げ
〘形動〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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