剣先船(読み)ケンサキブネ

デジタル大辞泉 「剣先船」の意味・読み・例文・類語

けんさき‐ぶね【剣先船】

船首剣先のようにとがっている船。ふつう長さ約13メートル。江戸時代奈良・大坂付近の浅い川で荷物運送に従っていた。けんさき。

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改訂新版 世界大百科事典 「剣先船」の意味・わかりやすい解説

剣先船 (けんさきぶね)

近世大和川筋を航行した川船。享保年間(1716-36)には古剣先船211艘,新剣先船100艘,在郷剣先船78艘,古大和川筋井路川船100艘,計489艘があり,働き場は上流は大和・河内境の亀ノ瀬と支流石川の富田林から,下流の大坂京橋までとされた。干鰯(ほしか),油粕その他諸貨物で米,大豆などの俵物は積まない定めであった。元禄末年(1700年代)大坂川船との紛議が起こり,大和川付替え後はそちらに働き場を移し,旧大和川筋は衰えていった。
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百科事典マイペディア 「剣先船」の意味・わかりやすい解説

剣先船【けんさきぶね】

江戸時代,河内国大和(やまと)川水系の水運に従事した川船。名称は船首がとがった船の形からつけられ,古剣先船(古船)・新剣先船(新船)・井路川(いじかわ)剣先船(井路川船)・在郷剣先船(在船)の4種があった。古船と新船は水系全体に広く賃積稼ぎを営み,在船と井路川船は年貢米輸送や村方荷物の賃積稼ぎに従事していた。江戸中期の船数は古船211,新船100,在船78,井路川船100の計489艘。

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