創造都市ネットワーク(読み)そうぞうとしねっとわーく(英語表記)Creative Cities Network

日本大百科全書(ニッポニカ) 「創造都市ネットワーク」の意味・わかりやすい解説

創造都市ネットワーク
そうぞうとしねっとわーく
Creative Cities Network

文学、映画、音楽、工芸(Crafts & Folk Art)、デザイン、メディア・アート、食文化(Gastronomy)の7分野で世界的に特色ある都市が連携する取り組み。国連教育科学文化機関ユネスコ)が7分野の優れた都市を認定。認定都市は他の認定都市や世界の文化団体などと交流しながら、文化芸術のもつ創造性を生かした産業振興や地域活性化に取り組む。グローバル化で世界各地の固有文化が消失するおそれがあるなか、文化の多様性の保持と潜在能力の活用がねらいである。イギリスの都市文化研究者チャールズ・ランドリーCharles Landry(1948― )が1995年に提唱した創造都市(Creative City)構想を基に、2004年からユネスコが世界の都市連携事業として開始した。認定都市は、創造都市の肩書きを商業的に利用でき、先進的な世界の創造都市と交流・連携できる。4年ごとにユネスコに活動実績を報告する。ユネスコの2015年報告では、創造都市は全世界で推定1兆3000億ドルの潜在的な経済効果をもつとされる。

 2018年時点で、世界72か国の180都市を認定。おもな認定都市には、文学でエジンバラ(イギリス)、映画でローマイタリア)、音楽でセビリアスペイン)、デザインでブエノス・アイレスアルゼンチン)、工芸でサンタ・フェ(アメリカ)、メディア・アートでリヨン(フランス)、食文化で成都(せいと)(中国)などがある。日本では神戸市(デザイン)、名古屋市(デザイン)、金沢市(工芸)、兵庫県丹波篠山(たんばささやま)市(工芸)、札幌市(メディア・アート)、浜松市(音楽)、山形県鶴岡市(食文化)、山形市(映画)の8都市が認定されている(2018年時点)。また2013年(平成25)、自治体や文化芸術関係団体などで構成する「創造都市ネットワーク日本」(CCNJ、事務局浜松市)が発足し、日本での創造都市の普及発展に取り組んでいる。

[矢野 武 2019年3月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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