劣・減(読み)おとる

精選版 日本国語大辞典 「劣・減」の意味・読み・例文・類語

おと・る【劣・減】

〘自ラ五(四)〙
[一] 数量、利益・価値などが減少する。損をする。費える。⇔まさる
書紀(720)皇極三年七月(岩崎本訓)「都鄙の人、常世の虫を取りて、清座(しきゐ)に置きて、歌ひ儛ひて、福を求めて珍財(たから)棄捨(す)つ。都(かつ)て益(ま)す所無くして、損費(オトリつひ)ゆること極めて甚し」
[二] 他とくらべて価値、数量などが及ばない。⇔まさる
① 価値、力量などがさがる。ひけをとる。負ける。
※仏足石歌(753頃)「拙劣(をぢな)きや われに於止礼(オトレ)る 人を多み」
② 身分、位などが低い。
※枕(10C終)一四六「碁を、やむごとなき人のうつとて、紐うち解き、ないがしろなるけしきに拾ひ置くに、おとりたる人の、ゐずまひもかしこまりたるけしきにて」
③ (多く打消しを伴って) ある数、単位などに及ばない状態である。
※幸若・十番斬(室町末‐近世初)「京鎌倉のをりのぼりにも五十騎百騎にはをとらず」
年月がおくれる。年が下である。
※百法顕幽抄平安中期点(900頃)「前のは壬申なり。第二のは癸酉なり。一年教(オトレ)り」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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