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勢力均衡[国際政治] せいりょくきんこう[こくさいせいじ]balance of power

翻訳|balance of power

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

勢力均衡[国際政治]
せいりょくきんこう[こくさいせいじ]
balance of power

国際社会において,ある国家または国家群が強大になりすぎないように力の均衡をはかり,国際社会の平和を維持しようという原理あるいは政策。近世初頭以来第1次世界大戦前までヨーロッパの安定維持の方策として一般に認められていた。 1648年のウェストファリア条約,1713年のユトレヒト条約などは,いずれもこの原理にのっとったものである。勢力均衡は,ある程度平和を維持するのに効果はあるが,その平和はきわめて不安定なものである。国家の力は量的に測定しうるという前提のうえに立っているが,いわゆる国力には国民性,国民の士気,愛国心,指導者の政治力などの質的な要素が含まれているので,自国あるいは他国の国力の厳密な計算は不可能である。したがって,政策決定に際しては常に安全を見込んで余裕をもたせざるをえないため,事実上均衡とは,等量の勢力ではなく優越した自国側勢力を意味するという矛盾を生むことになる。さらにこのような勢力算定が相互に行われて循環すれば,結局最大限の勢力獲得への競争に進み,さらには予防戦争に発展する。その結果,必ず戦勝国側勢力の優越を生じるため,再び戦敗国側や反対勢力が勢力均衡を目指すという形で悪循環が繰返される。第1次世界大戦後,新しい安全保障の方式として集団安全保障が登場したが,その後も勢力均衡に基づく政策をとろうとする傾向は依然として強い。第2次世界大戦後,多国間で締結された相互援助条約は,いずれも本質においては,勢力均衡の考え方によるものである。

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