勢至菩薩(読み)せいしぼさつ

精選版 日本国語大辞典 「勢至菩薩」の意味・読み・例文・類語

せいし‐ぼさつ【勢至菩薩】

(mahā-sthāma-prāpta 「大勢至菩薩」の略) 仏語阿彌陀三尊一つ阿彌陀仏の右の脇士で、智慧の光で一切を照らし、衆生をして餓鬼・畜生・地獄の三悪道から救い、臨終には来迎して極楽に引導するという菩薩宝冠中に宝瓶をつける。勢至薩埵。勢至。
※大原談義聞書鈔(1186か)「第五日之夜各行道交勢至菩薩同列立」

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デジタル大辞泉 「勢至菩薩」の意味・読み・例文・類語

せいし‐ぼさつ【勢至菩薩】

《〈梵〉Mahā-sthāma-prāptaの訳「大勢至菩薩だいせいしぼさつ」の略》智慧の光をもってあまねくいっさいを照らし、無上の力を得させるという菩薩阿弥陀三尊の一で、阿弥陀仏の右の脇侍。宝冠の中に宝瓶ほうびょうをのせ、手に蓮華れんげを持つ姿に表す。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「勢至菩薩」の意味・わかりやすい解説

勢至菩薩
せいしぼさつ

大乗仏教における菩薩の名。サンスクリット語でマハースターマプラープタMahāsthāmaprāpta(偉大な勢力を得たもの)といい、大(だい)勢至、得(とく)大勢などと訳し、その略名が勢至である。観世音(かんぜおん)菩薩とともに阿弥陀(あみだ)仏の脇侍(わきじ)(脇に随侍するもの)とされる。智慧(ちえ)の光をもってすべてのものを照らし、もろもろ苦難を離れさせ、無上なる力を得させるので、この名があるという。阿弥陀三尊の一つとして広く尊崇されたが、対比される観世音菩薩の信仰に比べるとそれほど盛んではない。形像は、普通、肉髻(にくけい)(頭頂の肉の隆起)に宝瓶(ほうびょう)を頂き、合掌や来迎印(らいごういん)の姿で示されているが、密教では手に蓮華(れんげ)を持つなど種々あり一定していない。

[藤田宏達]

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百科事典マイペディア 「勢至菩薩」の意味・わかりやすい解説

勢至菩薩【せいしぼさつ】

仏教の菩薩の一つ。大勢至・得大勢・大精進菩薩とも。サンスクリットのマハー・スターマ・プラープタ。観音菩薩とともに阿弥陀仏の脇侍。智慧(ちえ)の光により衆生に菩提心の種子を与えるという。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「勢至菩薩」の解説

勢至菩薩 せいしぼさつ

知恵の光で生あるものすべてをすくうという菩薩。
阿弥陀三尊のひとつ。慈悲をつかさどる観世音菩薩とともに阿弥陀如来の脇侍(きょうじ)。姿は観世音菩薩とほとんどおなじで,ふつう単独で信仰されることはない。京都三千院の像が有名。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「勢至菩薩」の意味・わかりやすい解説

勢至菩薩
せいしぼさつ

阿弥陀三尊の一つ。大勢至,大精進,得大勢ともいわれる。阿弥陀仏の右の脇侍 (わきじ) 菩薩で,智慧の光により衆生に菩薩心の種子を与えるとされる。

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世界大百科事典(旧版)内の勢至菩薩の言及

【勢至】より

阿弥陀如来の右脇侍(わきじ)として知られる菩薩の名。勢至菩薩ともいう。サンスクリットのmahāsthāma‐prāptaの漢訳名である大勢至を略して勢至という。…

※「勢至菩薩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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