北海道アイヌ協会(読み)ほっかいどうあいぬきょうかい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「北海道アイヌ協会」の意味・わかりやすい解説

北海道アイヌ協会
ほっかいどうあいぬきょうかい

1930年(昭和5)に設立された北海道在住アイヌ旭川(あさひかわ)などを除く〕を構成員とする団体。アイヌの同化を前提に、その社会的地位の向上を目的として北海道庁の主唱によって組織された。機関誌『蝦夷(えぞ)の光』(第1~4号)を発行し、それを通してアイヌの民族的自覚を訴えたが、戦時下は活動が停滞した。敗戦後の46年(昭和21)に社団法人として再建され、新冠(にいかっぷ)御料牧場解放運動などの主体となった。その後、60年には、アイヌ差別を理由に協会の名称を「北海道ウタリ協会」(ウタリはアイヌ語で同胞の意)と改め、現在に至っている。同会は、国・北海道・道内各市町村のアイヌ福祉対策の窓口になるとともに、北方領土や教科書におけるアイヌ記述の問題など、アイヌにかかわる社会的問題に対しても積極的に意見を表明している。とくに近年では、「北海道旧土人保護法」(1997年廃止)の撤廃とそれにかわるアイヌ新法(1997年施行)の制定へ向けての運動や、中曽根(なかそね)首相の「単一民族国家発言」に対する政府への抗議行動などを通して、その存在を広く国民に印象づけた。

[竹ヶ原幸朗]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android