北野武(読み)キタノタケシ

デジタル大辞泉 「北野武」の意味・読み・例文・類語

きたの‐たけし【北野武】

[1947~ ]タレント・俳優・映画監督。東京の生まれ。芸名ビートたけし漫才コンビ「ツービート」で人気を集め、個性派俳優としても活躍。深作欣二ふかさくきんじが降板した映画「その男、凶暴につき」で監督デビューし、斬新な暴力描写が話題となる。平成9年(1997)「HANA-BI」でベネチア国際映画祭グランプリ金獅子賞)を受賞。静寂な映像の中に死の影を漂わせた独特な手法が海外でも高く評価される。「キタノブルー」と呼ばれる青の色使いが特徴。作「ソナチネ」「キッズ・リターン」「座頭市」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「北野武」の意味・わかりやすい解説

北野武
きたのたけし
(1947― )

映画監督。東京に生まれる。漫才師、コメディアン、タレント、俳優としてテレビ、映画での人気をきわめ、わが国の芸能界最大のスターの一人である。1989年(平成1)、『その男、狂暴につき』で映画監督としてデビューした。その後、『3-4x10月』(1990)、『あの夏、いちばん静かな海』(1991)、『ソナチネ』(1993)、『キッズリターン』(1996)など、一作ごとに特異な作風が注目を集め、イギリスなど、「お茶の間ビートたけし」を知らない国の人々がその芸術性を純粋に高く評価したこともあって、現代日本映画を代表する映画監督として世界に知られるようになった。「静かな凶暴さ」ともいうべき、彼の繊細でどこか視線恐怖症的な映画スタイルは、1997年の『HANA-BI』でも存分に発揮され、ベネチア国際映画祭グランプリ(金獅子賞)を獲得、映画作家としての国際的名声を不動のものとした。2003年にも、主演・監督した『座頭市』で同映画祭の銀獅子賞(監督賞)を受賞している。

[岡島尚志]

資料 監督作品一覧

その男、凶暴につき(1989)
3-4x10月(1990)
あの夏、いちばん静かな海。(1991)
ソナチネ(1993)
みんな~やってるか!(1995)
キッズ・リターン(1996)
HANA-BI(1997)
菊次郎の夏(1999)
BROTHER(2001)
Dolls ドールズ(2002)
座頭市(2003)
TAKESHIS'(2005)
監督・ばんざい!(2007)
それぞれのシネマ~「素晴らしき休日」(2007)
アキレスと亀(2008)
アウトレイジ(2010)
アウトレイジ ビヨンド(2012)

『淀川長治責任編集『北野武(フィルムメーカーズ 2)』(1998・キネマ旬報社)』

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百科事典マイペディア 「北野武」の意味・わかりやすい解説

北野武【きたのたけし】

映画監督,コメディアン。東京生れ。明治大中退。浅草フランス座で修業を積み,〈ビートたけし〉の名で漫才コンビ〈ツービート〉を結成。漫才ブームに乗り,1980年代にテレビで爆発的な人気を得る。大島渚監督《戦場のメリークリスマス》(1983年)で俳優としての評価を獲得。《その男,狂暴につき》(1989年)で監督デビュー(主演も)。以後《3-4X10月》(1990年),《ソナチネ》(1993年),《キッズ・リターン》(1996年)などアウトローの姿を描いた作品のほか,聾唖の少年少女の交流を描いた青春映画《あの夏,いちばん静かな海。》(1991年)や,ドタバタ・コメディ《みんな〜やってるか!》(1995年)まで幅広く手がけている。《HANA-BI》(1997年)で第54回ベネチア国際映画祭グランプリ,《座頭市》(2003年)で第60回ベネチア国際映画祭監督賞を受賞。《監督・ばんざい!》(2007年)で第64回ベネチア国際映画祭にて《監督・ばんざい!》の英題から名づけられた〈監督・ばんざい!(GLORY TO THE FILMMAKER!)賞〉が新設され,第1回目の受賞者となった。作品はほかに《アウトレイジ》(2010年),《アウトレイジ ビヨンド》(2012年)がある。
→関連項目ベネチア国際映画祭漫才

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「北野武」の意味・わかりやすい解説

北野武
きたのたけし

[生]1947.1.18. 東京
映画監督,俳優,作家,タレント。明治大学工学部在学中に浅草のストリップ劇場「フランス座」でコメディアンとなり,大学は中退。 1973年,そこで知り合った兼子きよしと漫才コンビ「ツービート」を結成。ビートたけしと名のる。おりからの漫才ブームに乗り,「赤信号,みんなで渡れば恐くない」「寝る前にちゃんとしめよう親の首」などのブラック・ユーモアで人気を得た。 76年 NHK漫才コンクール優秀賞受賞。『オールナイトニッポン』など多くのラジオ・テレビ番組で活躍し,漫才ブームが過ぎ去ってもその人気にかげりはなかった。 83年の『戦場のメリークリスマス』 (大島渚監督) から,シリアスなドラマへの出演が増し,また『たけしくん,はい』など小説,エッセーの著作も手がけた。 89年『その男,凶暴につき』から監督,俳優として映画制作にたずさわり,『HANA-BI』 (1998) では,黒沢明稲垣浩に次いで日本人監督としては3人目となるベネチア国際映画祭サン・マルコ金獅子賞 (グランプリ) を受賞。その他監督作品に『3-4x 10月』 (90) ,『あの夏,いちばん静かな海』 (91) ,『ソナチネ』 (93) ,『みんな~やってるか!』 (95) ,『キッズ・リターン』 (96) など。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「北野武」の解説

北野武 きたの-たけし

ビート たけし

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