千代田(佐賀県)(読み)ちよだ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「千代田(佐賀県)」の意味・わかりやすい解説

千代田(佐賀県)
ちよだ

佐賀県東部、神埼(かんざき)郡にあった旧町名(千代田町(ちょう))。現在は神埼市千代田町地区で、市の南部を占める。旧千代田町は、1965年(昭和40)町制施行。2006年(平成18)神埼町、脊振(せふり)村と合併して市制施行、神埼市となった。筑後(ちくご)川で福岡県と接し、脊振山地から田手(たで)川、城原(じょうばる)川が南流し、かつては水害の常襲地。山のない沖積低地の町で、佐賀平野でも代表的な溝渠(こうきょ)(クリーク)地帯をなす。標高約4メートルの詫田(たくた)付近に旧海岸線の弥生(やよい)貝塚が分布する。『肥前国風土記(ひぜんのくにふどき)』に記述のある部族海部直鳥(あまのあたいとり)ゆかりの地とされ、古代条里制の遺称地名も多い。直鳥(なおとり)には中世環濠(かんごう)集落のおもかげをとどめる。近世長崎街道が北西部を通り、今日は東西の国道34号、264号と南北の国道385号が町内で交わる。典型的な米作地で圃場(ほじょう)整備によるクリーク統廃合問題をもつ。佐賀市に隣接し、久留米(くるめ)市などに近く、蔬菜(そさい)園芸が盛んで近隣都市への通勤者などが多い。高志(たかし)狂言は国の選択無形民俗文化財。『次郎物語』の著者下村湖人(こじん)の生家も復原されている。

[川崎 茂]

『『千代田町誌』(1974・千代田町)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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