南阿蘇(村)(読み)みなみあそ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

南阿蘇(村)
みなみあそ

熊本県東部、阿蘇郡にある村。2005年(平成17)阿蘇郡白水(はくすいむら)、久木野村(くぎのむら)、長陽村(ちょうようむら)が合併して成立。村域は阿蘇カルデラの南部、阿蘇山と阿蘇外輪山にはさまれた南郷谷(なんごうだに)に展開し、全域が阿蘇くじゅう国立公園に含まれる。村の中央を白川(しらかわ)が西に流れ、カルデラの切れ目となる立野(たての)火口瀬で、カルデラ北側の阿蘇谷を南流してきた黒(くろ)川と合流する。住宅や商業地のほとんどが、白川の流域に集中。立野火口瀬は交通の分岐点でもあり、ここで白川沿いに東に向かう南阿蘇鉄道、国道325号と、黒川沿いに北上するJR豊肥(ほうひ)本線、国道57号が分かれる。北東部の中央火口丘の斜面ではおもに採草や畜産、南から西にかけての外輪山では林業と畜産が行われている。白川の流域は、江戸中期、片山嘉左衛門(かたやまかざえもん)らによる用水路開削などで開田が進み、近頃は夏秋野菜の栽培も盛ん。近年、久木野地区ではソバの作付け面積が増大し、特産品の一つに数えられる。九州東海大学農学部、京都大学の火山研究センターなどの文教施設や口径82センチメートルの反射望遠鏡をもつ南阿蘇ルナ天文台がある。村内には地獄(じごく)、垂玉(たるたま)、栃木(とちのき)、大阿蘇火の山などの温泉が点在。環境省の名水百選に選定された白川水源を筆頭に、湧水源も多い。白川・黒川合流点近くの黒川に懸かる数鹿流(すがる)ヶ滝、白川に懸かる鮎返りの滝などは景勝地として知られる。長野阿蘇神社(ながのあそじんじゃ)に奉納される長野岩戸神楽(いわとかぐら)は、300年以上の歴史を有し、国選択無形民俗文化財。面積137.32平方キロメートル(境界は一部未定)、人口1万1503(2015)。[編集部]
〔2016年熊本地震〕2016年の熊本地震では、4月16日1時25分の地震で村内河陽で震度6強を観測、国道325号の阿蘇大橋が崩落するなど、大きな被害に見舞われた。この地震による村内の被害は、関連死を含め死者30名(うち、警察の検視によって確認された死者は16名)、重傷者29名、住家全壊699棟にのぼり、罹災世帯数は1681を数えている(平成30年5月11日『平成28(2016)年熊本地震等に係る被害状況について【第272報】』熊本県危機管理防災課ほか)。2018年8月現在、豊肥本線の阿蘇駅と肥後大津駅(大津町)間、南阿蘇鉄道の中松駅と立野駅(大津町)間は運休中で、阿蘇大橋は2020年度中の復旧を目差している。[編集部]

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