日本大百科全書(ニッポニカ) 「博士(令制の官職)」の意味・わかりやすい解説
博士(令制の官職)
はかせ
(1)古代、学生に教授課試する教官で、令(りょう)制の官職。大学寮には学科ごとに明経(みょうぎょう)博士(経書を講ずる)、算博士(算術)、音博士(漢音)、書博士(書道)がいたが、天平(てんぴょう)(729~749)初年に明法(みょうぼう)(法学)、文章(もんじょう)(漢詩文)の2博士が加えられた。平安時代初期に紀伝道の盛行により紀伝博士(中国史)が置かれたが、のちに文章博士に統一された。陰陽(おんみょう)寮には陰陽博士(占筮(せんぜい))のほか暦(れき)(暦法)、天文(天文、気象)、漏剋(ろうこく)(時刻測定)の各博士があり、典薬(てんやく)寮には医(医学、薬学、人体の学識)、針(針灸(はりきゅう))、案摩(あんま)(按摩(あんま)術)、咒禁(じゅごん)(呪文(じゅもん)により病災を防ぐ方術)の各博士がある。ほかに、大宰府(だざいふ)には管内諸国の国学生を教授する博士が、諸国の国学には学生を教授する国博士(くにのはかせ)がいた。
[前川明久]
(2)近・現代における最高位の学位である博士(はくし)を博士(はかせ)ということがある。
[編集部]
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