原子レーザー(読み)げんしれーざー

日本大百科全書(ニッポニカ) 「原子レーザー」の意味・わかりやすい解説

原子レーザー
げんしれーざー

光によるよりもはるかに細いビームの原子群を周期的に放出するレーザー極低温になると、ある種の原子のエネルギーは最低状態にそろうため、大量の原子が一つの巨大粒子のように振る舞い、渦運動は量子化され波打つようになる。この状態(ボース‐アインシュタイン凝縮=BE凝縮)の粒子からは波状に原子群が放出されると予測されていた。マサチューセッツ工科大学MIT)のケタールらは1997年初め、光レーザー冷却とエネルギーの高い原子を外部に逃す方法で絶対温度100万分の1度以下にして、約500万個のナトリウム原子をBE凝縮。これを磁場により超高真空のなかに閉じ込めて光レーザーで二つに切り、磁場を取り除くことによって重力落下させた2組の原子群間にレーザー干渉縞が生ずることを確認した。原子レーザー装置が実用化されれば、原子レベルの超微細加工装置や、超微細な検出、測定装置などが実現できると期待されている。

[岩田倫典]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android