厨子・廚子(読み)ずし

精選版 日本国語大辞典 「厨子・廚子」の意味・読み・例文・類語

ず‐し ヅ‥【厨子・廚子】

〘名〙
仏像・舎利(しゃり)・経巻などを納置するもの。一般に正面に両開きの扉をつける。
※大安寺伽藍縁起并流記資財帳‐天平一九年(747)「合厨子玖合 仏物二合小 法物一合 通物六合」
※米沢本沙石集(1283)二「厨子(ツシ)なんども美麗(びれい)にしたてて崇(あが)め供養しけり」
調度書画・食物などを載せる置き棚。棚の一部に両開きの扉をつけたもの。
正倉院文書‐天平勝宝八年(756)六月二一日・東大寺献物帳「厨子一口〈赤漆文槻木、古様作、金銅作鉸具〉」
源氏(1001‐14頃)帚木「ちかき御つしなる、色々の紙なる文どもをひき出でて」
[語誌](1)清涼殿西庇の御厨子所で、食物等を納め置いた棚からの名称というが、逆に厨子を常置した部屋で御厨子所と名が付いた可能性もあり、断言できない。厨子の別名を「竪櫃」と称しているところから考えると、櫃の蓋が横になるようにした形の扉付きの箱が、厨子の原義と思われる。
(2)縦長にした場合には、仏像安置のためによく使われるが、普通は横長の形で食物などの収納棚に使用する。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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