双六・双陸(読み)すごろく

精選版 日本国語大辞典 「双六・双陸」の意味・読み・例文・類語

すご‐ろく【双六・双陸】

[1] 〘名〙
① 盤遊戯の一つ。遊戯に用いる盤の大きさは一定しない。競技は二人相対して、それぞれ黒・白の駒一五個を一定の配列に従って並べ、長さ約一〇センチメートルの采筒に入れた二個の采を、交互に振り出して、現われた采の目によって駒を進める。駒の進め方には約束があり、相手の駒をとることもできる。こうして、早く相手方の地内に駒を進め終わった方を勝ちとする。二個の采の目には慣用呼称があり、同じであった場合、重一(でっち)重二(じゅうに)・朱三(しゅさん)・朱四(しゅし)・重五(でっく)・畳六(じょうろく)などと呼ぶ。競技法には、本双六のほか、枡、追回し、大和、下り端など種々あり、競技によって使用する駒の数や配列にもちがいがある。すぐろく。
※芸大本平家(13C前)一「かも川の水、すごろく(さい)山法師、是ぞわが心に叶はぬ物と、白河院も仰也けるとかや」
紙面に多くの区画をつくって絵を描き、「振り出し」と「あがり」の場を定め、数人で一個の采を順々に振り、出た目の数によって駒を進めて、早く「あがり」に到達したものを勝ちとするもの。絵双六の類。仏法双六が古くおこり、浄土双六、名目双六、道中双六など種々のものが工夫された。《季・新年》
浄瑠璃・丹波与作待夜の小室節(1707頃)道中双六「一のうらは双六の幸有悦有、慰み有ける道中と」
※五百句(1937)〈高浜虚子〉昭和五年「子供等に双六まけて老の春」
[2] 狂言舞狂言。和泉流。近江国の僧が関東の双六の名人九郎蔵を訪れる途中、人が葬った九郎蔵の塚を見つけ回向していると、塚の中から九郎蔵の霊が現われて双六について語り、討死のさまを示して消える。「狂言記」では「双六僧」。古くは、鷺流でも行なわれた。
[語誌](1)双六の字音から出た名称で、中世以前はスグロクの語形が一般的であったが、のちスゴロクに転じた。シグロク・シゴロクの語形も節用集・抄物等に見られる。
(2)(一)①は、古くインドにおこったといわれ、唐代に中国から伝えられた。古来、単なる遊戯としてだけではなく、賭博(とばく)として行なわれることが多く、禁制がくりかえされ、近世後期にいたって衰退した。今日一般的に見られる②は、それと入れ替わる形で隆盛、定着した。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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