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取る・執る・採る・捕る・撮る・摂る・脱る とる

大辞林 第三版の解説

とる【取る・執る・採る・捕る・撮る・摂る・脱る】

( 動五[四] )
手に持つ。 《取・執》
離れているものを手でつかんで持つ。手で握る。 「茶碗を手に-・って見る」 「書棚の本を-・る」 「ペンを-・る」
手に持って使う。操作する。 「船の舵かじを-・る」
つまんで上に引き上げる。 「袴の股立ちを-・る」 「着物の褄つまを-・る」
手に入れる。自分のものにする。 「政権を-・る」 「損して得-・れ」
処理する。仕事を進める。運用する。 《執》 「事務を-・る」 「政務を-・る」
保存する。残しておく。 《取》 「記念に-・っておく」 「明日のおやつに半分-・っておく」
かたく保持する。守る。 「自説を-・って譲ろうとしない」
それまであった所から自分の側に移す。 《取》
手に取って自分のものとする。 「お菓子を一つずつ-・る」 「お釣りは-・っておいてください」
集める。採集する。収穫する。 《取・採》 「きのこを-・る」 「貝を-・る」 「血を-・る」 〔農作物の場合は「穫る」とも書く〕
捕らえる。つかまえる。捕獲する。 《捕》 「すずめを-・る」 「蝶ちようを-・る」 「マグロを-・る」 「熊を-・る」 〔「獲る」とも書く。昆虫など小さな動物の場合は「採る」とも書く〕
領有する。支配する。 《取・執》 「天下を-・る」 「リーダーシップを-・る」 「乾杯の音頭を-・る」 「指揮を-・る」
分けて移す。分けて自分のものとする。 「料理を小皿に-・る」 「分け前を-・る」
報酬を得る。収入を得る。 「高給を-・る」 「月給を-・る」
(「摂る」とも書く)体内に取りこむ。食べる。摂取する。 「食事を-・る」 「野菜を-・る」 「ビタミンを-・る」
体を休ませることをする。体に心地よいことをする。 「睡眠を-・る」 「休養を-・る」 「暖を-・る」 「木陰で涼を-・る」
願い出て得る。請うて与えられる。
休みをもらう。 「休暇を-・る」 「暇を-・る」
許しを得る。 「保健所の許可を-・る」 「相手の了解を-・る」
取引をまとめる。 「注文を-・る」 「契約を-・る」
自分のところへ来させてあることをする。または、させる。
注文して持って来させる。取り寄せて買う。 「出前を-・る」 「寿司を-・る」
届けさせて定期的に継続して買う。 「新聞を-・る」
呼び寄せる。呼んで療治をさせる。 「あんまを-・る」
迎え入れる。もらう。 「息子に嫁を-・る」 「弟子を-・る」
権力によって強制的に集める。多く受け身の形で用いる。 「息子を兵隊に-・られる」 「徴用に-・られる」
引き入れる。導き入れる。 《取・採》 「灌漑用水を-・る」 「天窓から明かりを-・る」
導く。案内する。 「手を-・って教える」 「馬の口を-・る」
つながりを設ける。接触する。 「連絡を-・る」 「コンタクトを-・る」
成績・資格などを得る。 「良い成績を-・る」 「学位を-・る」 「賞を-・る」 「運転免許を-・る」
ある事や物の代わりにあずかる。 「人質を-・る」 「担保を-・る」
それまであった場所から別のところに移す。 《取》
不要なものや汚れなどを除く。取り去る。どける。 「しみを-・る」 「澱おりを-・る」
(「脱る」とも書く)身に付けていたものを外す。ぬぐ。 「帽子を-・って挨拶あいさつする」 「眼鏡を-・る」
付属品などを取り外す。 「箱のふたを-・る」 「本のカバーを-・る」
体から苦痛や不快感を除く。 「痛みを-・る」 「疲れを-・る」
人の所有物を自分のものにする。
ある手段によって、他に属していたものを自分のほうに移す。うばう。 「大手スーパーに客を-・られる」
不法な手段で自分のものにする。盗む。うばう。 「だまされて土地を-・られる」 「財布を-・られる」 〔金品をぬすむ場合は「盗る」とも書く〕
討ち果たす。殺す。また、首を切る。 「命を-・る」 「仇かたきを-・る」 「敵将の首を-・る」
注意・関心などを引き付ける。 「テレビに気を-・られる」 「移り変わる景色に気を-・られる」
自由な動きをうばう。 「ぬかるみに足を-・られる」 「スリップしてハンドルを-・られる」
受け取る。徴収する。
物やサービスの対価として相手から金銭を受け取る。 「代金を-・る」 「初診料を-・る」
強制的に納めさせる。 「税金を-・る」 「賦課金を-・る」
契約や約束によって受けて納める。 「家賃を-・る」 「月謝を-・る」 「手数料を-・る」
将棋・カルタ・花札・トランプなどで、敵の駒やその場に出された札を、自分の持ち駒にしたり、自分の札としてうばう。 「飛車を-・る」 「切り札で-・る」
スポーツの試合で、得点を得る。 「初回に二点を-・る」 「一本-・られる」
(「とってもらう」「とってあげる」など授与を表す動詞の上に付いて)他の人のために物を持って渡す。 「その胡椒こしようを-・ってください」
官位・財産などを召し上げる。没収する。 「かく官爵かんさくを-・られず/源氏 須磨
身に負う。引き受ける。受け止める。 《取》
他より劣る評判や結果などを得る。 「不覚を-・る」 「若い者に引けを-・らない」 「他社に後れを-・る」
自分のするべきこととして引き受ける。 《取・執》 「責任を-・る」 「仲介の労を-・る」
芸妓・娼妓が、客を迎えて相手をする。 「客を-・る」
財産や家督を受け継ぐ。 「跡を-・る」
身に加わる。身に積み重なる。 「年を-・る」 「当年-・って二五歳」
身に負わせる。課する。多く受け身の形で用いる。 「反則を-・られる」 「罰金を-・られる」
(多く「…にとって」「…にとりて」の形で)…の身として。…の立場からすれば。 「一介の研究者に-・って身に余る名誉」 「反対派に-・ってじゃまな存在」
選び出す。選んで決める。
よいものを選んで使う。すぐれているものを採用する。 《採・取》 「 - ・るべき唯一の方策」 「どちらの方法を-・るべきだろう」
人を採用する。 《採》
会社・組織などが、従業員を採用する。 「新卒を-・る」 「理科系から-・る」
学校が学生・生徒を入学させる。 「一学年一八〇人-・る」
ある態度や行動様式を選んでそのようにする。 《執》 「毅然たる態度を-・る」 「強硬な手段を-・る」 「自由行動を-・る」
進む方向を選び出して決める。選んでそちらへ行く。 《取》 「針路を北に-・る」 「徳本とくごう峠を越えて上高地へと道を-・る」 「学者への道を-・る」
あるものを選んでそれに基づく。よりどころとする。 《取》 「史実に題材を-・った作品」
みずからその下につく。仕える。 《取》 「主を-・る」 「師を-・る」
選び出す。選択する。 「この二十八日になむ、舟に乗るべき日-・りたりければ/落窪 4」 「クジヲ-・ル/日葡」
作り出す。ある形にしてとどめる。 《取》
あるものを原料にして何かを作り出す。 《取・採》 「大豆から油を-・る」 「アオカビの一種から抗生物質を-・る」
形を作る。形を似せて作る。 「石膏で型を-・る」
形を描き出す。 「輪郭を-・る」 「矛盾がさまざまな形を-・って表面化する」
書き留める。 「ノートに-・る」 「控えを-・る」 「メモを-・る」
写す。
写真を写す。 《撮》 「記念写真を-・る」 「スナップを-・る」 「映画を-・る」 「レントゲンを-・る」
音や映像を磁気テープなどに記録する。 「演奏会の模様を録音に-・る」 「野鳥の鳴き声をテープに-・る」 「ビデオに-・っておいた映画を楽しむ」 「コピーを-・る」 〔音を記録する場合は「録る」とも書く〕
数値などを記録する。 「データを-・る」 「心電図を-・る」
数量や物事を知る。おしはかる。 《取》
数える。はかる。 「数を-・る」 「カウントを-・る」 「寸法を-・る」 「尺を-・る」 「脈を-・る」
数値を集めて計算する。 「平均を-・る」 「統計を-・る」
人数などを確認する。 「出席を-・る」 「点呼を-・る」
解釈する。推量する。理解する。受け取る。 「悪く-・らないでほしい」 「冗談を本気と-・られる」
うまく釣り合って安定するようにする。 「バランスを-・る」
相手の気持ちに合うようにうまく扱う。 「機嫌を-・る」 「多少わるくなく-・られた事ゆゑ、自然足しげく通ふうち/当世書生気質 逍遥
場所や時間を占める。 《取》
場所を占める。場所を定めて落ち着く。 「宿を-・る」 「席を-・る」 「会議室を-・る」 「陣を-・る」
場所を設ける。ある面積を占める。 「書斎を広く-・る」 「スペースを-・る」
予約して場所を確保する。 「指定券を-・る」 「金曜の最終便を-・ってある」 「特別席を-・る」
時間や労力を必要とする。費やす。かかる。 「準備に手間を-・る」 「一時間ほど時間を-・ってくれないか」
しつらえる。ふとんを敷く。 「床とこを-・る」
手・足・体などを動かす。ある動作をする。
動きをととのえる。 「拍子を-・る」 「リズムを-・る」
相撲やカルタなどをする。 「横綱と一番-・る」 「家族で百人一首を-・る」
(「時にとって」「時にとりて」の形で)場合によって。時によって。 「人、木石にあらねば、時に-・りて、物に感ずる事なきにあらず/徒然 41
たとえる。なぞらえる。 「例に-・る」 「このセクションは人間に-・ってみれば心臓に当たる部門だ」 〔「とれる」に対する他動詞〕
[可能] とれる
( 動下二 )
とれる
[慣用] 揚げ足を- ・当たりを- ・裏を- ・遅れを- ・垢離こりを- ・采さいを- ・鞘さやを- ・質しちに- ・死に水を- ・酌を- ・陣を- ・先せんを- ・大事を- ・手に手を- ・手玉に- ・年を- ・中を- ・引けを- ・暇ひまを- ・不覚を- ・筆を- ・脈を- ・面を- / 鬼の首を取ったよう ・手に取るよう
[表記] とる(取・執・採・穫・捕・獲・撮・録・盗・摂
「取る」は“手に持つ。手に入れる。徴収する。時間や労力を要する。引き受ける”の意。「本を手に取る」「資格を取る」「天下を取る」「手数料を取る」「手間を取る」「責任を取る」  「執る」は“手に持って使う。行う”の意。「筆を執る」「政務を執る」「毅然たる態度を執る」  「採る」は“集める。採集する。えらぶ”の意。「きのこを採る」「天窓から明かりを採る」「大豆から油を採る」「決を採る」「新卒を採る」  「穫る」は“農作物などを収穫する”の意。「穫ったばかりのトマト」  「捕る」は“つかまえる。捕球する”の意。「蝶ちようを捕る」「トンボを捕る」「外野フライを捕る」  「獲る」は“狩りや漁などで獲物をつかまえる”の意。「捕る」とも書く。「熊を獲る」「魚を獲る」  「撮る」は“写真や映画を撮影する”の意。「写真を撮る」「映画を撮る」「レントゲンを撮る」  「録る」は“録音・録画する”の意。「ビデオに録る」「野鳥の声をテープに録る」  「盗る」は“他人の物をうばう。ぬすむ”の意。「取る」とも書く。「お金を盗る」「財布を盗られる」  「摂る」は“体内に取りこむ。食べる”の意。「食事を摂る」「栄養を摂る」

出典|三省堂大辞林 第三版について | 情報

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