口舌・口説(読み)くぜる

精選版 日本国語大辞典 「口舌・口説」の意味・読み・例文・類語

くぜ・る【口舌・口説】

〘自ラ四〙 (「ぐぜる」とも。「くぜつ(口舌)」を動詞化した語)
① 言い争いをする。痴話げんかをする。
洒落本・大劇場世界の幕なし(1782)「忠こう、はつばつしくなんだ。なにようくぜるのだ」
② 述べたてる。よくしゃべる。他動詞的にも用いる。
※洒落本・伊賀越増補合羽之龍(1779)向ふ島之段「熊さんや徳さんも、よく色々な事をくぜるのう」
③ 鳥が盛んにさえずる。
※俳諧・後の旅(1695)「この月もおもひやくせる鶯子〈露川〉」

く‐ぜち【口舌・口説】

〘名〙 (「く」は「口」の、「ぜち」は「舌」の呉音)
① ことば。また、口先だけのもの言い。多弁。弁舌。くぜつ。こうぜつ。
② 言い争い。いさかい。口論苦情。くぜつ。
伊勢物語(10C前)九六「ここかしこより、その人のもとへいなむずなりとて、くせちいできにけり」
※俳諧・犬子集(1633)一一「くせちをいひて送る一筆 妻にただいとまをやるも世のならひ」

く‐ぜつ【口舌・口説】

〘名〙
① =くぜち(口舌)①②〔色葉字類抄(1177‐81)〕
日葡辞書(1603‐04)「Cujetno(クゼツノ) キイタ ヒト〈訳〉おしゃべりな人。雄弁な人」
江戸時代、主として男女間の言いあいをいう。痴話げんか。くぜち。くぜ。
評判記難波物語(1655)「口説(クゼツ)などしても、銭なければ、はるべき手だてもなく」

くぜ・つ【口舌・口説】

〘自動〙 (「くぜち(口舌)②」の動詞化。連用形「くぜち」だけが用いられたらしい) 言い争いをする。苦情を言う。
平中(965頃)二三「さる間に、この女の親、けしきをや見けむ、くぜち、まもり、いさかひて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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