古畑任三郎(読み)ふるはたにんざぶろう

知恵蔵 「古畑任三郎」の解説

古畑任三郎

1994年から12年にわたって放送された、フジテレビの本格推理ドラマ。脚本三谷幸喜が手がけ、主役の刑事古畑任三郎を田村正和が演じた。犯人があらかじめ分かっているという「刑事コロンボ」式のストーリー展開もさることながら、脇役陣のコミカルなせりふまわしや、番組後半に視聴者に「なぜ古畑任三郎に犯人が分かったのか」という謎解きを挑むスタイルが人気を呼び、パート3まで制作された。
ストーリーは、まず犯人の犯行シーンが出てきて、後日その現場に古畑任三郎が到着し捜査を始めるというワンパターン。しかし、古畑任三郎が真相にたどり着くための手がかりが、シーンの中にあまりにもさりげなく盛り込まれているため、犯人が分かっているのにもかかわらず、謎解きのシーンになって初めて「ああ、それが決め手だったのか!」と、どんでん返しにも似た新鮮な驚きを感じる。この意外さが視聴者をテレビの前にくぎづけにし、マンネリを感じさせない斬新な推理ドラマへと仕上げた。犯人役を毎回、大物芸能人が務めたという点も高視聴率の理由で、大御所俳優、お笑い芸人、歌舞伎役者までもが「殺人犯」として古畑任三郎と対決した。
脇役陣もおおいに番組を盛り上げた。筆頭は、古畑任三郎の部下である今泉慎太郎(西村雅彦)。古畑にバカにされるほどのおとぼけぶり、天然ぶりで、物語にお笑いの要素を加えた。今泉慎太郎は、のちに古畑任三郎に匹敵するほどの人気キャラクターとなり、本編放送日の深夜、「巡査・今泉慎太郎」と称したショート番組が組まれたほど。今泉とは正反対の優秀な刑事、西園寺(石井正則)、古畑の事件になぜかいつも巻き込まれる花田(八嶋智人)も、ドラマが生んだユニーク脇役キャラクターだ。
古畑任三郎シリーズは、99年6月を最後にいったん幕を閉じたが、2006年の正月ドラマ「古畑任三郎ファイナル」として復活。これがシリーズ完結編となり、3日連続、長編単発ドラマとして放送された。共演者は、石坂浩二イチロー、松嶋菜々子など。このファイナルをもって古畑任三郎は終了したが、08年6月、古畑任三郎の中学生時代を描いた「古畑中学生」が放送され、古畑任三郎の生い立ちが語られた。

(高野朋美 フリーライター / 2009年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

デジタル大辞泉プラス 「古畑任三郎」の解説

古畑任三郎

日本のテレビドラマシリーズのひとつ。放映はフジテレビ系列。毎回異なるゲスト俳優による犯罪者が登場し、田村正和演じる主人公警部補・古畑任三郎が、卓越した推理力により犯人との会話から犯行の実態を明らかにしていくという定型のストーリー展開が特徴。コミカルな演出とゲスト俳優陣の豪華さで人気を博し、1994年から1999年にかけて3シリーズが制作・放映されたほか、単発のスペシャルドラマやスピンオフ作品もある。脚本は劇作家の三谷幸喜。音楽:本間勇輔。

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