叩・砕(読み)はたく

精選版 日本国語大辞典 「叩・砕」の意味・読み・例文・類語

はた・く【叩・砕】

[1] 〘他カ五(四)〙
① 搗(つ)く。砕く。搗き砕く。砕いて粉末にする。粉にする。〔運歩色葉(1548)〕
上杉家文書‐(年月日未詳)(江戸)鉄砲一巻之事「毎日薬はたかせ申事、はたき申者は御足軽衆之内年寄」
うち払う。払いのける。ごみほこりをたたいて落とす。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)前「敷ぶとんで銭箱の上をはたきながらすはる」
③ たたく。平たいもので打つ。なぐる。
五重塔(1891‐92)〈幸田露伴〉三「空に飛び交ふ赤蜻蜓を撲(ハタ)いて取らうと」
④ すっかりなくしてしまう。財産、持ち金、知恵などを使い尽くす。払い尽くす。
※滑稽本・和荘兵衛後篇(1779)二「大の字で食(めし)を五人前づつはたきまするといふたが」
⑤ 身に受ける。蒙る。
※踊之著慕駒連(1854‐61頃)「衆人の中にて強恥はたくよ」
⑥ しくじる。失敗する。やりそこなう。損する。また、不評を蒙る。
※浮世草子・当世芝居気質(1777)一「我場に成て胸だくだく、どうぞはたかねばよいがと思ふ心を」
⑦ 値切る。値段を安くさせる。まけさせる。
⑧ 口に出す。吐く。ほざく。ぬかす。
洒落本・まわし枕(1789)「いいかげんに口をはたきやァがれ」
相撲で、相手の首や肩を上からたたいて前に倒す技をかける。
※相撲講話(1919)〈日本青年教育会〉常陸、梅の爛熟時代「突勝って進む鼻を、駒ははたいたが、太刀はよく残してつけ入り」
[2] 〘他カ下二〙 (手や足を)のばしたりひろげたりする。〔日葡辞書(1603‐04)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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