可変コンデンサー(読み)かへんコンデンサー

精選版 日本国語大辞典 「可変コンデンサー」の意味・読み・例文・類語

かへん‐コンデンサー【可変コンデンサー】

〘名〙 (コンデンサーはcondenser) 静電容量を変えられるコンデンサー。電極板の対向面積を連続的に可変できるようにしたバリコンなどと、各容量の固定コンデンサーを切換スイッチによって段階的に可変させる可変雲母コンデンサーなどがある。回路調整や測定用の標準器などに用いられる。可変蓄電器

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デジタル大辞泉 「可変コンデンサー」の意味・読み・例文・類語

かへん‐コンデンサー【可変コンデンサー】

電極一方を動かして静電容量を加減することのできるコンデンサー。無線送信機・ラジオなどに用いる。バリコン。可変蓄電器

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「可変コンデンサー」の意味・わかりやすい解説

可変コンデンサー
かへんこんでんさー

キャパシタンス(静電容量)を変えるコンデンサー(蓄電器)の一種。高周波回路に使用し、バリコン(variable condenserの略称)ともいう。容量は20~30ピコファラドから500ピコファラドの範囲で、この値を自由に変えられる。

 2個の羽根板(電極)を間隔を置いて向かい合わせて置き、一方を回転させて向かい合った電極面積を変化させると、静電容量が変わる構造になっている。羽根板の形により、回転角度に対して、(1)静電容量が直線的に変化する容量直線形、(2)共振波長が直線的に変化する波長直線形、(3)共振周波数が直線的に変化する周波数直線形、などに分かれる。羽根板にはアルミニウム板、回転軸には真鍮(しんちゅう)、絶縁物にはベークライトポリスチロールなどが用いられ、絶縁物の良否が性能に影響する。羽根板の間隔は、直流1000ボルト当り1ミリメートル程度に設計されたものが多い。電極間の放電を防ぐため、真空容器の中に収めたり、窒素、炭酸ガスなどの不活性ガスを数気圧に圧縮して封入したものがあり、無線送信機などの大電力用に適している。

 一方、低圧、小型のものとして、銀電極をつけたチタン酸系セラミックスを用い、電極面積を変える磁器可変コンデンサーや、厚さ20~60マイクロメートルのポリエチレンフィルムを電極に接着させたプラスチックフィルム可変コンデンサーがあり、ポータブルラジオの選局部に用いられている。

[吹野 正]


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改訂新版 世界大百科事典 「可変コンデンサー」の意味・わかりやすい解説

可変コンデンサー (かへんコンデンサー)
variable condenser

静電容量が変えられるコンデンサーのことで,バリアブルコンデンサーまたは略してバリコンともいう。それぞれ扇形の電極対の一方を回転することによって電極対向面積を変える構造のものがもっとも多い。誘電体として空気,酸化チタン系セラミックス,ポリエチレンなどのプラスチックフィルムが用いられる。誘電体を空気とした空気可変コンデンサーは静電容量(通常500pF以下)の必要上,多数の電極板を重ねた構造をもち,用途によっては回転角と静電容量との関係を曲線的とする。可変コンデンサーをコイルと組み合わせて同調回路とすることは広く行われるが,同調回路には電圧可変コンデンサー(可変容量ダイオード)も用いられる。
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