同形(読み)ドウケイ

デジタル大辞泉 「同形」の意味・読み・例文・類語

どう‐けい【同形】

形が同じであること。同じ形。「―異種
類似する化学組成をもつ物質が同じ結晶構造結晶形を示すこと。方解石CaCO3菱苦土石MgCO3とが、方解石型の結晶構造をとり三方晶系を示すなど。類質同像
[類語]同格同一共通等しい同じ等価同等均等等し並み一律一様いちようイコール互角五分ごぶ通有普遍一つ類似相似酷似近似似たり寄ったり類縁髣髴通ずる通う通底いつにする

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改訂新版 世界大百科事典 「同形」の意味・わかりやすい解説

同形 (どうけい)
isomorph

類質同像ともいう。化学組成は異にしても結晶構造がほとんど同じものをいう。ドイツのE.ミッチェルリヒが,成分は異なるが組成形式に類似性をもつ無機塩の結晶形の観察実験から確立した概念。その後,結晶構造の研究の進歩により結晶構造との関係にまで拡張され,結晶化学基本法則の一つとなった。たとえば,塩化ナトリウム食塩)型構造をとるNaCl,MgO,TiC,PbSなど,セン亜鉛鉱型構造をとるZnS,GaAs,β-SiCなどの関係がその例で,無機化合物に限らない。新材料開発の指導原理として重要である。
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百科事典マイペディア 「同形」の意味・わかりやすい解説

同形【どうけい】

類質同像とも。異なる物質であっても結晶形が等しい場合,これらを互いに同形であるという。たとえば岩塩型構造をとるNaCl,MgO,TiC,PbSの同形,セン亜鉛鉱型構造をとるZnS,GaAs,β-SiCなどの同形がその例である。→同型置換同形律
→関連項目混晶リョウ(菱)鉄鉱リョウ(菱)マンガン鉱

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「同形」の意味・わかりやすい解説

同形
どうけい
isomorphism

異質同形、異質同像、類質同形、同像などともいう。狭義には、広範囲な組成領域で同一の結晶構造型に属する結晶相互間の混晶(同形混晶)をつくりうるものどうしの結晶を同形という。ドイツのE・E・ミッチェルリヒが確立した概念である。たとえば金と銀、塩化カリウム塩化ルビジウムなどの関係がそれにあたる。広義では、同じ結晶構造型に属するだけで同形というが、別にこれを同一構造形isotypyともいう。塩化ナトリウムと酸化マグネシウムとの関係がその例で、ともに塩化ナトリウム型の結晶構造をとるが、混晶はつくらない。

[岩本振武]

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岩石学辞典 「同形」の解説

同形

種類または数種類の物質が類似した結晶構造を持つ性質で,一種類またはそれ以上の種類の結晶構造を作る元素(イオン,原子およびこれらの群)が他のものとの置換が可能な場合に起こる.isomorphousな系列は二種類またはそれ以上の端成分をもち,安定しているが化学組成および軸率や光学的性質などの物理的性質が異なっている.中間の組成のものは,置換の比率が増加するにしたがって,一方の端成分から他方の端成分に性質が徐々に変化する[Day : 1910].

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「同形」の意味・わかりやすい解説

同形
どうけい
isomorphism

化学用語。異質同形,同像ともいう。異なる物質が同じ結晶構造をもつ場合をいう。狭義には互いに任意の割合に混合して固溶体をつくる結晶をいい,例として金と銀がある。化学組成が似ている化合物はよく似た結晶系の結晶となる。これをミッチェルリヒの同形の法則という。

同形
どうけい

同形写像」のページをご覧ください。

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