精選版 日本国語大辞典 「吹・噴・嘯」の意味・読み・例文・類語
ふ・く【吹・噴・嘯】
[1] 〘自カ五(四)〙
① 気体が動く。風がおこる。風が出る。
② 息をする。うそぶく。〔観智院本名義抄(1241)〕
③ 鳴く。
※石山寺本法華経玄賛平安中期点(950頃)六「は熊虎の声ぞ。玉篇には咆(フ)くぞ。咆は鳴なり」
⑤ 水や煮物が沸騰して湯や汁が鍋・釜からこぼれる。
⑥ 草木の芽が出る。
⑦ 吹出物ができる。
⑧ かび、粉、塩などが表面に現われ出る。
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)四「青い色の丸い物で白う粉のふいた物ぢゃ」
⑨ 相場が騰貴する。〔取引所用語字彙(1917)〕
[2] 〘他カ五(四)〙
① 口をすぼめて呼気を出す。また、細めにあいた口から息とともに吐き出す。
※日葡辞書(1603‐04)「ヒヲ fuqu(フク)」
② 内部から勢いよく出す。わくように出す。
※猿投本文選正安四年点(1302)「を吐いて風を生して野を欲(す)う、山を(フク)」
③ すぼめた口から出す息で音をたてる。笛などの管楽器を鳴らす。
④ 大げさなことをいう。誇張していう。大言をはく。でまかせをいう。自慢する。
※天草本伊曾保(1593)イソポの生涯の事「コチワ ソラウソ fuite(フイテ) イテ」
⑤ 買い手に物の値段を高くいう。ふっかける。
⑥ 風があたって物を動かす。
※万葉(8C後)一九・四二九一「わが屋戸のいささ群竹布久(フク)風の音のかそけきこの夕かも」
※万葉(8C後)一四・三五六〇「真金(まかね)布久(フク)丹生(にふ)の真朱(まそほ)の色に出て言はなくのみそ吾(あ)が恋ふらくは」
⑧ 金属を鋳(い)て貨幣や器具をつくる。鋳造する。
※日葡辞書(1603‐04)「カネヲ fuqu(フク)」
⑨ 草木が芽を出す。
※俳諧・春鴻句集(1803頃)春「此ほどや舞台くすせは木の芽吹」
⑩ かび、粉、塩などを、表面に現わし出す。「柿が粉をふく」
※坑夫(1908)〈夏目漱石〉「剥げた中から緑青を吹いた様な味(み)が出てゐる」
⑪ 垢(あか)をかきとる。
※咄本・醒睡笑(1628)八「太閤御所、風呂に御入ありつるを、〈略〉御垢にまゐらんとて吹かれけるやう」
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