吹出・噴出(読み)ふきだす

精選版 日本国語大辞典 「吹出・噴出」の意味・読み・例文・類語

ふき‐だ・す【吹出・噴出】

[1] 〘自サ五(四)〙
① 風が吹きはじめる。ふきたつ。
② 内にあるものが一気に外に出る。狭いところから勢いよく外に出る。あふれて外に出る。わき出る。噴出する。
咄本・鹿の子餠(1772)睾玉「無間の鐘の手水鉢のごとく吹出(フキダ)す水につれ」
③ こらえかねて、ぷっと笑う。我慢しきれず急に笑い出す。
俳諧・続山の井(1667)春中「春風にふき出し笑ふ花も哉(がな)芭蕉〉」
草木の芽が勢いよく出る。萌(も)え出る。
※虞美人草(1907)〈夏目漱石〉五「石には苔の斑が薄青く吹(フ)き出(ダ)して」
⑤ 相場が急に上がる。〔最新現代語辞典(1933)〕
[2] 〘他サ五(四)〙
① 吹いて出す。内から外へ勢いよく出す。あふれるように外に出す。
※俳諧・桜川(1674)秋二「ふき出すやいきもかへらぬ若煙草〈吟睡〉」
② 勢いよく芽を出す。
星座(1922)〈有島武郎〉「来年新芽を吹き出したら」
③ 笛や管楽器を吹きはじめる。
④ 自慢を言いはじめる。
雑兵物語(1683頃)下「山や川や野合戦のお咄し斗吹出しなさるが」

ふき‐いだ・す【吹出・噴出】

[1] 〘自サ四〙
① 風が吹き始める。
※俳諧・炭俵(1694)上「山の根際の鉦かすか也〈岱水〉 よこ雲にそよそよ風の吹出す〈孤屋〉」
液体気体が小さい穴から勢いよく外に出る。吹き出る。ふきだす。〔高山寺本名義抄(鎌倉初)〕
③ こらえかねて笑い出す。我慢しきれず声をあげて笑う。失笑する。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)四「きた八おかしく、ふきいだしながら」
吹出物腫物(はれもの)が皮膚に現われ出る。
※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)六「瘡がひとりでにふき出したは」
[2] 〘他サ四〙
① 中にあるものや隠れているものを、吹いて外に出す。
※道済集(1019頃)「山かくれ残れる花をみつるかなよにふきいたす風に尋て」
② 笛などを吹いて音を出す。
狂歌・雅筵酔狂集(1731)雑「尺八を吹いだす程おかしきは肥えふくれたる人の口つき」
③ 笛などを吹き始める。
※今鏡(1170)三「尺八といひて、ふき絶えたる笛、始めてこのたびふきいだしたると」

ふき‐・でる【吹出・噴出】

〘自ダ下一〙 ふき・づ 〘自ダ下二〙
① 内にあるものが勢いよく出てくる。水や蒸気などが勢いよくわき出る。ふきだす。ふきいず。
夢十夜(1908)〈夏目漱石〉第二夜「毛穴から外へ吹(フ)き出(デ)やう吹き出やうと焦るけれども」
② 吹出物が出る。
※日葡辞書(1603‐04)「カサガ fuqizzuru(フキヅル)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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