吹切(読み)ふっきる

精選版 日本国語大辞典 「吹切」の意味・読み・例文・類語

ふっ‐き・る【吹切】

(「ふききる(吹切)」の変化した語)
[1] 〘自ラ五(四)〙 はれものなどが、うんですっかりうみが出てしまう。うみが出てさっぱりする。転じて、病気が治る。
※歌舞伎・怪談月笠森(笠森お仙)(1865)三幕「すっかりふっきりまして、この通りしゃんしゃん歩けまする」
[2] 〘他ラ五(四)〙
① はれものなどのうみをすっかり出す。
※社会百面相(1902)〈内田魯庵〉台湾土産「便毒(よこね)を吹切(フッキ)って病院で切って貰ったのは」
② 急にとぎらせる。切りはなす。
※機関車に巣喰ふ(1930)〈龍胆寺雄〉「白い湯気の塊が〈略〉空間へ吹っ切られて」
③ わだかまりやためらいの気持をきっぱりと捨て去る。もたついた気分をからっとさせる。
猟銃(1949)〈井上靖〉彩子の手紙遺書)「ふっきったやうな美しい字面の中に、突然何か〈略〉暗然たるものを感じた」
[3] 〘自ラ下二〙 ⇒ふっきれる(吹切)

ふっ‐き・れる【吹切】

〘自ラ下一〙 ふっき・る 〘自ラ下二〙 (「ふききれる(吹切)」の変化した語)
物事物音が、急に切れる。急に途絶える。
抱擁(1973)〈瀬戸内晴美〉二「声の端がさっくりとふっきれない喋り方をする」
② はれものなどがうんで、破れてうみがすっかり出る。
③ たまっているものが一気に出る。わだかまりやためらいの気持が、一気に発散する。
※若き日(1943)〈広津和郎〉三「いつまでも痰が吹っ切れずに咳きつづけてゐた」
受胎(1947)〈井上友一郎〉「吹っ切れない面持で何やらいやにおづおづと」

ふき‐き・る【吹切】

[1] 〘自ラ四〙
① 風がすっかり吹きやむ。
腫物(はれもの)などがうみきって破れ、うみが出る。
[2] 〘他ラ五(四)〙
① 風がはげしく吹いて、ものをちぎる。
※前田本枕(10C終)二一六「根ごめにふききられたる花どもなどを、ここかしこよりひき出でなどするを」
② 風が吹いて、物音などをさえぎる。
※俳諧・俳諧新選(1773)四「吹切られ又啼く声や小夜千鳥〈孤桐〉」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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