吾が・我が(読み)あが

精選版 日本国語大辞典 「吾が・我が」の意味・読み・例文・類語

あ‐が【吾が・我が】

連語〙 (代名詞「あ」に助詞「が」の付いたもの)
① (主格) 私が。自分が。
万葉(8C後)五・八九一「一世には二遍(ふたたび)見えぬ父母を置きてや長く阿我(アガ)別れなむ」
② (連体格) 私の。自分の。特に中古以後、相手の名まえなどの上に付けて、親しみの気持を表わす場合が多い。「あがきみ」「あが仏」など。
※古事記(712)上・歌謡「八千矛の 神の命や 阿賀(アガ)大国主」
源氏(1001‐14頃)玉鬘「あがおもと、はやく導ききこえ給へ」
[語誌](1)上代では、「あ」は「わ、あれ、われ」とともに一人称の体言としての用法を保っており、「あが」はこれに助詞の「が」の付いたものとして考えることができる。
(2)上代において、②の連体格の場合、下に来る体言は「主(ぬし)、君、皇神(すめかみ)、愛者(はしもの)、児(こ)、身、胸、面(おも)下心(したばへ)、恋、床(とこ)、馬、為」などであり、一方「わが」の下には、「夫(せ)、妹(いも)、母、名、命、盛(さかり)、世、畳、家、宿、門(かど)、園(その)、里、国、旅、船」などがきて、両者に使い分けが見られる。これを「あが」は単数的、孤独的、「わが」は複数的、一般的なものという相違として説く説がある。ただし、「衣手」のように両方に付く体言もあり、意味の違いについてはまだ定説がない。→あれ(吾・我)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android