呂運亨(りょうんこう)(読み)りょうんこう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「呂運亨(りょうんこう)」の意味・わかりやすい解説

呂運亨(りょうんこう)
りょうんこう / ヨウニョン
(1885―1947)

朝鮮の独立運動家。日本語読みは「りょうんきょう」とも。ソウルの培材学堂、中国南京(ナンキン)の金陵(きんりょう)大学などで学ぶ。1919年に上海(シャンハイ)で李光洙(りこうしゅ/イグァンス)らと新韓青年党を結成して本格的な独立運動を開始した。1919年末、大韓民国臨時政府代表として日本に招聘(しょうへい)された際に、朝鮮独立を訴える演説をして一躍有名になる。1920年には高麗(こうらい)共産党に入党し、モスクワで開かれた極東民族大会にも参加している。1929年、上海で日本警察に検挙されて3年間服役した後、民族紙『朝鮮中央日報』の社長に就任して自主的な言論活動を展開した。1944年、建国同盟を組織してひそかに朝鮮独立の準備を進め、1945年8月15日の朝鮮解放と同時に朝鮮建国準備委員会を設立して建国運動を主導した。同年9月、彼らが樹立した朝鮮人民共和国はアメリカ軍政当局に否定されたが、12月に朝鮮人民党、さらに翌1946年には勤労人民党党首となり、左派系政治勢力を結集して独立国家建設を目ざす活動中に、1947年7月、ソウルの恵化洞(けいかどう)で暗殺された。

[馬渕貞利]

『武田幸男編『朝鮮史』(『新版世界各国史2』・2000・山川出版社)』『文京洙著『韓国現代史』(岩波新書)』

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