呉文聡(くれぶんそう)(読み)くれぶんそう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「呉文聡(くれぶんそう)」の意味・わかりやすい解説

呉文聡(くれぶんそう)
くれぶんそう
(1851―1918)

明治・大正期の統計学者。医師呉黄石(こうせき)の次男として江戸・青山に生まれる。幼時漢学を、その後箕作麟祥(みつくりりんしょう)について英学を学び、大学南校に入ったが、中途で退学した。1875年(明治8)政府太政官(だじょうかん)正院の政表課に採用されて以来、内務省農商務省などおもに官庁にあって草創期の統計の開発整備に従事し、指導的役割を果たした。その間、表記学社を創立、『統計集誌』を発行して統計の普及に努めるとともに、講演・教育活動を通じて後進の育成にも力を尽くした。また海外の統計学や統計事情を積極的に研究、紹介するとともに、『統計詳説』(1887)、『統計原論』(1889)、『経済統計学』2巻(1902)などの著作や多数の統計学に関する論文執筆発表し、わが国統計および統計学の発展のために全生涯を捧(ささ)げた。

木村太郎

『『呉文聡著作集』全3巻(1973・日本経営研究所)』『大橋隆憲著『日本の統計学』(1975・法律文化社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android