周期性過眠症(Klein-Levin症候群)

内科学 第10版 の解説

周期性過眠症(Klein-Levin症候群)(睡眠異常)

(3)周期性過眠症(Klein-Levin症候群)
定義・概念
 12~20歳の男性に好発,周期的傾眠に引き続く空腹感を特徴とする.
原因・病因
 間脳,視床下部の機能障害が一時的に起こると推定されている.
臨床症状
 性格変化で始まり,傾眠と睡眠状態が数日~数週間にわたってみられ,トイレ以外はほとんど眠る.目が覚めると病的な空腹感を訴え,むさぼるようにがつがつと食べる.何らかの誘因発熱飲酒,その他の心理的・身体的ストレス)の後に過眠期に移行する.過眠期は大別して前駆期,過眠期(狭義),回復期の3期からなる.
1)前駆期:
2~3日にわたる頭重感,倦怠感,性格変化が起こる.
2)過眠期(狭義):
食事と排泄を除いて終日臥床,覚醒させることは可能だが周囲に無関心である.食欲が異常に亢進,しばしば性的に抑制を欠いた行動を示す.
3)回復期:
日中の過眠傾向が次第に改善,午後の覚醒時間が増え,ついには朝から覚醒可能となる.
鑑別診断
 視床下部に占拠性病変がないかを頭部CT,MRIで確認する.
経過・予後
 予後は良好で成人になると自然治癒する.
治療・予防
 炭酸リチウムが有効とされる.発作予防には塩酸アンフェタミンや塩酸メチルフェニデートが有効である.[黒岩義之]
■文献
大川匡子,内山 真:睡眠障害.ダイナミック神経診断学(柴崎浩編),pp303-312,西村書店,新潟,2001.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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