咎・尤(読み)とがめる

精選版 日本国語大辞典 「咎・尤」の意味・読み・例文・類語

とが・める【咎・尤】

[1] 〘他マ下一〙 とが・む 〘他マ下二〙
悪事欠点などをそれと指示して非難する。取り立てて責める。問いただす。なじる。
古事記(712)上「速須佐之男命〈略〉大嘗を聞看(きこしめ)す殿に屎麻理(くそまり)散らしき。故、然為れども天照大御神は登賀米(トガメ)ずて告りたまひしく」
※尋常小学読本(1887)〈文部省〉六「今此表を読みて、其無礼を咎むるまでに上達せられしは」
② 不審に思って心をとめる。また、珍しいもの、興をそそるものに対して注意を向ける。
書紀(720)崇峻即位前(図書寮本訓)「河内国司、其犬を尤(トカメ)(あやしび)、朝庭に(まうしあぐ)
源氏(1001‐14頃)橋姫「似つかはしからぬ袖の香を、人ごとにとがめられめでらるるなむ」
[2] 〘自マ下一〙
① はれものなどが刺激を受けて、熱が出たり痛んだりする。
※和英語林集成(初版)(1867)「キズガ togameru(トガメル)
② 悪いことをしたと思って心に痛みを感じる。
※野の花(1901)〈田山花袋〉七「それでは余りに心が咎めるから」

とがめ【咎・尤】

〘名〙 (動詞「とがめる(咎)」の連用形の名詞化)
① とがめること。なじること。非難すること。そしり。叱責
※源氏(1001‐14頃)若菜上「いかで、人目とがめあるまじくもて隠して」
太平記(14C後)一三「如何なる御沙汰にか逢候はんずらんと上の御尤(トガメ)を怖て」
つみやあやまちに対する罰。
※枕(10C終)九九「北の陣より、五月雨は、とがめなきものぞとて、さしよせて」
③ 悪いことをしたと思って心に痛みを感じること。
※真夏の死(1952)〈三島由紀夫〉「むしろ彼女の良心の咎(トガ)めは」
④ 売り過ぎや買い過ぎによって起こる、相場の大きな反動。〔取引所用語字彙(1917)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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