善・能(読み)ようく

精選版 日本国語大辞典の解説

ようく【善・能】

〘副〙 (「よく」を強めていう) 不足のところがないように。十分に。完全に。しっかり。
洒落本・南閨雑話(1773)鋪の体「おかさんへも、よく申てくんなんし」

よく【善・能】

〘副〙 (形容詞「よい」の連用形から)
① 十分に。念を入れて。また、巧みに。うまく。
※正倉院文書(762頃)万葉仮名文「いひね与久(ヨク)かそへてたまふへし」
※評判記・難波物語(1655)「淡路、額つきあしく、目尻つり過ぎたり、能(ヨク)人にまはるよし、当世の傾城なり」
※はやり唄(1902)〈小杉天外〉七「其事情を、お前の知ってる限、熟(ヨ)く悉しく話して遣るが可(い)い」
② ひどく。非常に。はなはだしく。大変。
※万葉(8C後)二・一二八「吾が聞きし耳に好(よく)似る葦のうれの足ひく吾が背つとめたぶべし」
※浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二「木像の顔が文三の欠伸をした面相に酷(ヨ)く肖(に)てゐるとか昇の云ったのが」
③ たびたび。ともすれば。しばしば。ちょくちょく。まま。
※右京大夫集(13C前)「なにとなきことを我も人もいひしをりおもはぬ物のいひはづしをしてそれをよくいはれしも」
※負け犬(1953)〈井上友一郎〉「この種の印刷物のハガキはよく来る」
④ 困難なことをなし遂げた時、あたりまえでは考えられないような結果を得た時、喜ばしいことにでくわした時などの感嘆・賞賛・喜悦あるいは羨望の気持を表わす。よくもまあ。本当にまあ。よくぞ。
※万葉(8C後)四・五二三「好(よく)渡る人は年にもありといふを何時の間にそも吾が恋ひにける」
※人情本・閑情末摘花(1839‐41)五「よく来たノウ。此間うちから、衆人(みな)さんが大案じヨ」
⑤ (④を否定的な意味でいう) 常識では考えられないような行為や言説が行なわれた時、それに対して非難・軽蔑・憎悪などの気持を表わす。恥ずかしくもなくまあ。まあぬけぬけと。よくもまあ。
※源氏(1001‐14頃)竹河「うたての御達や、恥づかしげなるまめ人をさへ、よくこそ、おもなけれと、忍びてのたまふなり」

よっ【善・能】

〘副〙 「よく()」の変化した語。
※金刀比羅本平治(1220頃か)中「あっぱれ太刀、三河守もよっきり給けり」

よっく【善・能】

〘副〙 (「よく(善)」の変化した語) 「よく」を強めた語。たいそうよく。十分に念を入れて。
※玉塵抄(1563)一四「いかにもつつしんでよっく思案して」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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