団扇太鼓(読み)ウチワダイコ

デジタル大辞泉 「団扇太鼓」の意味・読み・例文・類語

うちわ‐だいこ〔うちは‐〕【団扇太鼓】

一枚革を丸く張り、柄をつけて団扇の形にこしらえた太鼓日蓮宗題目を唱えるときにたたく。

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精選版 日本国語大辞典 「団扇太鼓」の意味・読み・例文・類語

うちわ‐だいこ うちは‥【団扇太鼓】

〘名〙 うちわのように一枚の皮を円く張って柄を付けた太鼓。日蓮宗徒が題目を唱える時にたたく。
随筆・続飛鳥川(19C中)「七月、さし鯖売、団扇太鼓」
※或る女(1919)〈有島武郎〉後「眼病祈祷だと云ふ団扇太鼓(ウチハだいこ)の音がどんぶくどんぶくと」

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改訂新版 世界大百科事典 「団扇太鼓」の意味・わかりやすい解説

団扇太鼓 (うちわだいこ)

円形の枠に一枚の革を張って柄をつけ,撥(ばち)で叩く楽器。形が団扇と同じなのでこの名がある。日蓮宗で題目をとなえたりするときに用い(題目太鼓という),民俗芸能でも盆踊などに用いられる場合がある。歌舞伎囃子にも用いられ,盆踊や《伊勢音頭》など総踊の場面に多く用いられる〈音頭打ち〉は,篠笛(しのぶえ),チャッパ銅鈸(どうばつ))とともに奏する。このほか,殺しの場面には,にぎやかななかにも陰惨な効果をもつものとして使用される。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「団扇太鼓」の意味・わかりやすい解説

団扇太鼓
うちわだいこ

丸い枠に皮を張り、柄(え)を持ってたたく太鼓。形が団扇に似ているところから、その名がある。歌川広重(ひろしげ)の版画「池上詣(いけがみもうで)」「会式(えしき)風俗」などにも描かれており、江戸中期から日蓮(にちれん)を追慕する御会式(おえしき)などに、日蓮宗の題目(南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう))を唱える際の仏具として用いられてきた。題目講中や万灯(まんどう)講中にとってなくてはならないものであるが、両面張りのものは江戸末期か明治初期にできたと推定される。

[渡邊宝陽]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「団扇太鼓」の意味・わかりやすい解説

団扇太鼓
うちわだいこ

団扇型の枠に1枚または2枚の皮を張った太鼓で,細ばち1本で奏する。単面型は日蓮宗でお題目伴奏に用いられ,両面型は下座 (げざ) で舞踊や幕あきの伴奏に使われる。

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世界大百科事典(旧版)内の団扇太鼓の言及

【太鼓】より

…(2)胴 胴の機能は第1に膜の緊張を保持することにあり,第2には内部に空洞を設けて音を響かせ,特徴ある太鼓の音を形成することにある。最も単純な太鼓は,膜を張る機能のみをもつフレーム・ドラムframe drum(枠太鼓)で,日本の団扇(うちわ)太鼓がこれに相当する。枠(胴)の深さが増して膜の直径と等しくなるまでは,一般にこの名称が用いられている。…

※「団扇太鼓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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