国分寺(市)(読み)こくぶんじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「国分寺(市)」の意味・わかりやすい解説

国分寺(市)
こくぶんじ

東京都のほぼ中央部、武蔵野(むさしの)台地にある市。1964年(昭和39)市制施行。台地はより高い武蔵野面と、それより一段低い立川(たちかわ)面に分かれるが、「はけ」とよばれるその境界の崖(がけ)、国分寺崖線沿いに清水がわき、清水を集めた野川が東隣の小金井市に向かって流れている。その付近に国分寺が758年(天平宝字2)ごろまでに建立され、それが市の名となった。台地面の開発は江戸時代の享保(きょうほう)年間(1716~1736)に進み、戸倉本多内藤などの新田集落ができた。1889年(明治22)現在のJR中央本線(旧、甲武鉄道)、その後、西武鉄道国分寺線、同多摩湖線が開通、関東大震災(1923)を機に住宅地として発展した。府中街道に沿いJR武蔵野線が通じ、中央本線との交点に西国分寺駅が1973年開設。野菜や植木生産の農業、機械などの工業もみられる。また、鉄道総合技術研究所、日立製作所中央研究所、農林水産省動物医薬品検査所、東京経済大学などの研究・教育機関が立地している。

 国分寺崖線の湧水を集めた崖下の清流沿いに、遊歩道として整備された「お鷹の道」が通じ、「真姿の池」などの湧水群は環境庁の「名水百選」に選定され(1985)、東京都の名勝にも指定(1998)されている。武蔵国分寺跡附東山道武蔵路跡は国指定史跡。現国分寺は薬師堂に国指定重要文化財の木造薬師如来坐像(ざぞう)を安置し、武蔵多喜窪(たきくぼ)遺跡第一号住居跡出土品一括(国指定重要文化財)を所蔵隣接地万葉植物園がある。旧岩崎家別邸の都立殿ヶ谷戸庭園(とのがやとていえん)も都の名勝(1998年指定)。面積11.46平方キロメートル、人口12万9242(2020)。

沢田 清]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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