国境なき記者団(読み)コッキョウナキキシャダン(英語表記)Reporters Sans Frontières フランス語

デジタル大辞泉 「国境なき記者団」の意味・読み・例文・類語

こっきょうなき‐きしゃだん〔コクキヤウなき‐〕【国境なき記者団】

ジャーナリストによる国際NGO言論報道の自由の擁護目的として1985年に設立本部パリ。弾圧・殺害されたジャーナリストの救出家族への支援などを行う。RSF(Reporters Sans Frontières)。RWB(Reporters without Borders)。
[補説]2002年から報道の自由度ランキングを発表している。2017年版で日本は180か国中72位。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「国境なき記者団」の意味・わかりやすい解説

国境なき記者団
こっきょうなききしゃだん
Reporters Sans Frontières フランス語

報道の自由とジャーナリストの権利の確立を目的とする国際的なNGO(非政府組織)。フランス語の頭文字をとってRSFと略称する。1985年、ロベール・メナールRobert Ménard(1953― )らフランス人ジャーナリストによって創設。不当に投獄・拘禁された世界のジャーナリストを解放するよう働きかけているほか、拘禁されたジャーナリストとその家族や殺害されたジャーナリストの遺族を経済的に支援。各国政府や巨大IT企業によるメディア規制・検閲反対監視・警告し、2002年から、世界180か国・地域の報道自由度をランキングする世界報道自由度指数World Press Freedom Indexを公表している。2023年のランキングでは、首位ノルウェー、2位アイルランド、3位デンマーク。アメリカは45位、ロシア164位、中国179位、最下位北朝鮮。日本は先進7か国(G7)中最下位の68位。日本は2011年(平成23)に11位であったが、福島第一原子力発電所事故に関する情報開示の自由度の低さ、特定秘密保護法などの法制化の動き、排他的な記者クラブ制度などが問題視され、最近は60~70位台に低迷している。

 本部をパリに置き、ワシントンや台北(タイペイ)など世界13か所に国際拠点や地域事務所をもつ。風刺漫画家の国際ネットワーク「平和のための風刺漫画Cartooning for Peace」や、カンボジア、ソマリアなどのジャーナリスト組織と連携し、世界各国の通信員は134人(2023年6月時点)。運営財源はフランス、アメリカなど西側政府や政府関係機関からの補助金、個人の寄付、写真集の売上げなどである。報道の自由を守る姿勢からノーベル平和賞候補に取りざたされる一方、人権問題を抱える中国でのオリンピック北京(ペキン)大会の開催に反対し、採火式と聖火リレーに対して妨害行為を行ったこともある。

[編集部 2023年9月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

知恵蔵 「国境なき記者団」の解説

国境なき記者団

紛争地域などでジャーナリストに対する暴行や誘拐が増えたことを受け、被害者を救援することを目的に、1985年、フランスのモンペリエで設立された非政府組織(NGO)。現在の本部はパリ。被害者の保護や救出のために、新聞・テレビ・ラジオなどの報道機関を活用した活動を行う。そのほか、報道の自由のための活動も行い、検閲や発行禁止処分にあうメディアも支援する。ドイツ、スペイン、スウェーデン、スイスなど9カ国に支部を置き、約80カ国のジャーナリストがメンバーで、150カ国以上を対象に活動。資金は会費や寄付のほか、欧州連合(EU)委員会、ユネスコ、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)からの補助で賄っている。

(最上敏樹 国際基督教大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android