国立西洋美術館〈本館〉(読み)こくりつせいようびじゅつかん〈ほんかん〉

世界遺産詳解 「国立西洋美術館〈本館〉」の解説

こくりつせいようびじゅつかん〈ほんかん〉【国立西洋美術館〈本館〉】

2007年に日本の世界遺産暫定リストに記載された建造物。川崎造船所社長だった松方幸次郎がヨーロッパ各地で集めた絵画彫刻などのコレクション、いわゆる松方コレクションを基に、1959年に東京都台東区上野公園に設立された美術館。松方コレクションは、サンフランシスコ平和条約の取り決めによってフランス政府が所有することになったが、フランス政府が日本への返還を決定し、その際にフランス美術館の創設が条件とされ、近代建築の三大巨匠の1人であり、20世紀フランスを代表する(生まれはスイス)建築家であるル・コルビュジエの設計で建設されることになった。第二次世界大戦を背景として誕生した美術館は、日本で唯一のル・コルビュジエ設計の建築物。これを加えた19の建築物をフランスを代表国として、その所在国である日本、ドイツ、スイス、ベルギーアルゼンチンの6ヵ国が「ル・コルビュジエの建築作品-近代建築運動への顕著な貢献」と銘打って世界遺産の登録を目指している。2011年6月にユネスコ世界遺産委員会が「記載延期」と決定。6ヵ国はその後もユネスコへの働きかけを行っている。国立西洋美術館は、1998年に地域に根ざした優れた公共施設として、「公共建築百選」に選定されている。

出典 講談社世界遺産詳解について 情報

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