世界中の中等教育課程にある生徒が参加し、科学技術に関する発想や知識、問題解決の能力などを競う国際的なコンテストの総称。知のオリンピックともよばれている。日本では高校生がおもな対象となる。世界の科学的な才能に恵まれた子供を発掘し、才能を育むチャンスを与えることを目的に開かれており、代表選手や教育関係者にとって国際交流を図る貴重な場となっている。おもな国際大会には、(1)国際数学オリンピックInternational Mathematical Olympiad(IMO)、(2)国際化学オリンピックInternational Chemistry Olympiad(IChO)、(3)国際生物学オリンピックInternational Biology Olympiad(IBO)、(4)国際物理オリンピックInternational Physics Olympiad(IPhO)、(5)国際情報オリンピックInternational Olympiad in Informatics(IOI)、(6)国際地理オリンピックInternational Geography Olympiad(iGeo)、(7)国際地学オリンピックInternational Earth Science Olympiad(IESO)、(8)国際天文学オリンピックInternational Astronomy Olympiad(IAO)などがある。
各大会はすべて個人戦として成績を競い、理論問題試験のほか、実技や実験などの試験も行われる。個人の成績と国別ランキングが発表され、成績優秀者には金メダル(上位の約1割)、銀メダル(次の2割)、銅メダル(次の3割)が授与される。また、各大会開催中には、開催地独自の文化を体験するスポーツやゲームが行われ、他国の代表選手と国際交流を育むプログラムが盛り込まれている。
国際科学オリンピックの発祥は、1959年に開催された国際数学オリンピックである。同大会はルーマニアが主催国となり、ハンガリー、ブルガリア、ポーランドと、当時のチェコスロバキア、東ドイツ、ソビエト連邦の7か国の選手を招待して開かれた。以降、1967年に物理、1968年に化学、1989年に情報、1990年に生物学、1996年に地理と天文学、2007年に地学と、徐々に対象分野を広げてきた。現在は、ほぼ毎年1回、参加国の持ち回りによって分野ごとに開催地を決定し、運営している。国際大会に参加することができる選手は、通常1か国で4名から6名である。
日本は1990年(平成2)に国際数学オリンピックに初参加し、2014年(平成26)時点で、数学、物理、化学、情報、生物学、地理、地学の各大会に選手団を派遣している。選手は各分野ごとに代表選考を兼ねた国内大会で選抜され、国際大会参加前には強化合宿が行われる。
[編集部]
日本の将来を担う子供たちの理科や数学の才能をみいだし、その能力を伸ばす取組みとして国際科学オリンピックを盛り上げるため、ノーベル賞受賞者や学識経験者、財界人などによって日本科学オリンピック推進委員会が組織されている。英語名称はJapan Science Olympiad Committeeで、略称JSOC。2007年(平成19)設立。事務局は公益財団法人日本科学技術振興財団振興事業部内にある。ノーベル賞受賞者の江崎玲於奈(えさきれおな)が会長を務める。各国際科学オリンピックや国内選抜大会などに関する広報活動や運営を支援するほか、子供や教育関係者を対象とした科学関連のシンポジウム、体験講座などを主催している。
[編集部]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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