日本大百科全書(ニッポニカ) 「地域主義(国際)」の意味・わかりやすい解説
地域主義(国際)
ちいきしゅぎ
regionalism
世界各地域の特殊性を生かし、その内部における自治性の推進を目ざす考え方。国際の平和と安全の維持および国際協力の達成は、普遍的な利害関係事項である。しかし、国際紛争の性質や国際協力の特性のいかんによっては、それらの地域的特殊性に着目し、当該地域集団による局地的な処理にゆだねるのが、有効・適切とされる場合もある。地域的な利害関係事項として、自主的に自律的に処理させようというのである。この地域主義は、元来、対内的指向性を有する。域外に位置する第三国をライバルに措定し、これに敵対しようとするのではない。しかし、異なる地域的基盤に複数の国家集団が並存するのであるから、相互の関係を統一的に調整する全世界的なメカニズムを欠くとき、集団間の対立と抗争が激化することは避けがたい。普遍的な国際組織の存在と活動が不可欠とされるのも、このためである。国際連合がどのようにして地域主義を規制するかは、重要な課題である。
[森脇庸太]