地質調査所(読み)ちしつちょうさじょ

改訂新版 世界大百科事典 「地質調査所」の意味・わかりやすい解説

地質調査所 (ちしつちょうさじょ)

地質および地下資源に関する調査研究を総合的に実施する国立研究機関。同種の機関は世界の多くの国々に設置されている。日本では,1878年ドイツの地質学者E.ナウマンの建議で内務省地理局内に設置された地質課を前身とし,1882年農商務省地質調査所として発足した。初代所長は和田維四郎(つなしろう)。以後,商工省,軍需省時代を経て,現在は通商産業省工業技術院に所属している。設立以来,国土の地質の解明のため全国地質図幅(縮尺40万分の1,20万分の1,7万5000分の1,5万分の1)の調査を継続的に行っており,一方,各種地下資源や国土保全,災害防止の調査研究を進めて,産業開発や地質学の発展に貢献してきた。これらの成果は随時《日本地質図》(縮尺500万分の1,200万分の1,100万分の1など)や《日本地質鉱産誌》などに総括されている。最近では研究規模も大型化し,地熱エネルギー,地震予知,海洋開発,火山地域,空中磁気探査などの研究が重点的に推進されている。また国際協同(または協力)研究も盛んである。現在は茨城県筑波研究学園都市にあり,2001年独立行政法人の産業技術総合研究所地質調査総合センターとなる。
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百科事典マイペディア 「地質調査所」の意味・わかりやすい解説

地質調査所【ちしつちょうさじょ】

地質,地下資源などの調査,研究を行う国家機関。国内各地の一般的地質調査と地質図の出版,特定テーマによる調査研究(地熱エネルギー開発,地震火山噴火予知・災害防止,海洋資源開発など)が主業務。開発途上国への地質・地下資源調査の援助等も行う。1878年H.E.ナウマンの建議によって内務省地理局地質課として発足,1882年農商務省地質調査所として独立。戦後地下資源調査所と呼んだ時期もあったが,現在は通商産業省工業技術院に所属。

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