坂本藤吉(読み)さかもと・とうきち

朝日日本歴史人物事典 「坂本藤吉」の解説

坂本藤吉

没年天保10.6.7(1839.7.17)
生年:寛政10(1798)
江戸末期の川根茶改良の先駆者。駿河国志太郡伊久美村(島田市)の人。文政6(1823)年駿遠山中113カ村が,株仲間の非違横暴を訴えた文政茶一件は,この地の茶生産が全国的商品流通機構に参入したことを示す事件で,これを機にこの地域で行われていた釜炊,青製という製法の改良が迫られていた。藤吉は江戸で知ったという宇治の清右衛門の協力を得て,宇治茶師又兵衛ら数人を招き,私財を投じて玉露,薄茶(抹茶)などの製法を伝習させた。習熟者は数十人に達したという。製法の改良によって大井川流域の川根茶の名声は徐々に高まった。<参考文献>『静岡県志太郡誌

(若林淳之)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「坂本藤吉」の解説

坂本藤吉 さかもと-とうきち

1798-1839 江戸時代後期の製茶業者。
寛政10年生まれ。駿河(するが)(静岡県)の人。天保(てんぽう)8年山城(京都府)宇治におもむいて製茶師をまねく。茶の栽培と玉露や薄茶などの宇治茶の製法をまなび,駿河地方での生産に成功した。天保10年6月7日死去。42歳。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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