坐がり(読み)いますがり

精選版 日本国語大辞典 「坐がり」の意味・読み・例文・類語

います‐が・り【坐がり】

〘自ラ変〙 (「いますかり」とも。「いますがあり」の変化したものといわれるが、一説に「いましげあり」の意ともいう)
[一] 存在の意を表わす「あり(有)」「お(を)り(居)」の尊敬語。いらっしゃる。おいでになる。また、おありになる。いまそがり。いましがり。みまそがり。
※竹取(9C末‐10C初)「いますかりつる心ざしどもを思ひも知らで、まかりなんずる事の口惜しう侍りけり
[二] 補助動詞として用いる。
① (形容詞・形容動詞の連用形、断定助動詞「なり」の連用形「に」(または、それらに助詞「て」の付いたもの)に付く) 叙述の意を添える「あり(有)」の尊敬語。(…て)いらっしゃる。(…で)いらっしゃる。(…で)おありである。
※阿波国文庫旧蔵本伊勢物語(10C前)七七「右大将にいますかりけるふぢはらのつねゆきとまうすいますかりて」
② (動詞の連用形に付く) 動作の継続の意を添える「あり(有)」の尊敬語。(…て)いらっしゃる。(…て)おいでになる。
落窪(10C後)四「尼にいとめでたくてなし給へりけるを、よろこび宣ひいますかりける」
[語誌]尊敬語「います」を中核として成立した語で、語形としては「いますがり」「いまそがり」「いましがり」がある。平安和文の会話に見え、男性が多く用いているが、漢文訓読文には見えず、一三世紀には文語となってしまう。敬度は「おわします」よりやや低い。接尾語「げ」が付いて名詞になった「いますがりげ」という形もある。

いまそ‐が・り【坐がり】

〘自ラ変〙 (「いまそかり」とも) =いますがり(坐━)
※伊勢物語(10C前)三九「その帝のみこ、たかい子と申すいまそがりけり」
仮名草子・都風俗鑑(1681)四「比丘尼住所は〈略〉五条上下にいまそかり」

いまし‐が・り【坐がり】

〘自ラ変〙 (「いましかり」とも) =いますがり(坐━)
貫之集(945頃)一〇「これはここにいましがる神のし給ふなり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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