堤清二(読み)ツツミセイジ

デジタル大辞泉 「堤清二」の意味・読み・例文・類語

つつみ‐せいじ【堤清二】

[1927~2013]実業家小説家。東京の生まれ。東大卒。康次郎次男。昭和29年(1954)西武百貨店入社。昭和41年(1966)社長就任。以後、西友パルコクレディセゾンなどを展開し、セゾングループを形成。また、辻井喬つじいたかし筆名で小説家としても活躍。「虹の岬」で谷崎潤一郎賞、「父の肖像」で野間文芸賞受賞。平成24年(2012)文化功労者

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「堤清二」の意味・わかりやすい解説

堤清二
つつみせいじ

[生]1927.3.30. 東京
[没]2013.11.25. 東京
実業家,作家詩人西武グループの創業者,堤康次郎の二男に生まれた。西武鉄道会長を務めた堤義明異母弟。東京大学経済学部在学中に日本共産党に入党したがのちに除名され,1951年に大学を卒業したのち衆議院議長だった父の秘書となった。1954年に西武百貨店に入社,1966年に社長に就任。1969年,東京の池袋の中堅百貨店を買収し,パルコに衣替えするとともに,西武百貨店を渋谷に進出させた。さらに,ホテル,リゾート開発を拡大。また「脱大衆文化」の旗印を掲げて,DCブランドを普及させ,無印良品などを生み出し,新たな消費文化を編み出した。事業を金融,不動産,観光などに積極的に多角化させて,セゾングループを築き上げた。1980年代には,時代の寵児的な存在となったが,1980年代末のバブル経済崩壊に伴って,グループは経営悪化をきたし,1991年に引責するかたちで代表を辞任,さらにセゾングループは実質倒産を経て解体された。一方,事業家のかたわら辻井喬の筆名で,作家,詩人としても活躍した。詩人として,詩集異邦人』(1961,室生犀星詩人賞),『群青,わが黙示』(1992,高見順賞)など。作家としては 1969年に『彷徨の季節の中で』でデビューし,『虹の岬』(1994,谷崎潤一郎賞),『父の肖像』(2004,野間文芸賞)など多くの作品がある。2001年芸術選奨文部科学大臣賞,2006年日本芸術院賞恩賜賞を受賞。2007年日本芸術院会員,2012年文化功労者に選ばれた。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「堤清二」の解説

堤清二 つつみ-せいじ

1927-2013 昭和後期-平成時代の経営者,詩人,小説家。
昭和2年3月30日生まれ。堤康次郎の子。堤義明の異母兄。昭和39年父の死で西武百貨店を中心にした流通事業をうけつぎ,西友,パルコ,クレディセゾンなどをそだて,セゾングループを形成。62年セゾン文化財団を設立し,理事長。平成3年経営の第一線からしりぞく。辻井喬(たかし)の筆名で,詩集「異邦人」,小説「いつもと同じ春」「虹の岬」などをあらわす。16年「父の肖像」で野間文芸賞。18年芸術院恩賜賞。19年「鷲がいて」で読売文学賞,同年芸術院会員。21年「自伝詩のためのエスキース」で現代詩人賞。24年国際文化交流事業への長年の貢献でB・H・ロックフェラー賞。同年文化功労者。平成25年11月25日死去。86歳。東京出身。東大卒。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「堤清二」の意味・わかりやすい解説

堤清二
つつみせいじ
(1927―2013)

実業家。西武グループの創業者、堤康次郎(やすじろう)の次男。父より流通事業を受け継ぎ、セゾングループを築いた。また、辻井喬(つじいたかし)の筆名をもち、詩人、小説家としても活動した。

[編集部]

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百科事典マイペディア 「堤清二」の意味・わかりやすい解説

堤清二【つつみせいじ】

辻井喬

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世界大百科事典(旧版)内の堤清二の言及

【西武鉄道】より

…康次郎の死後,義明が後継者となり,事業を発展させたが,これらの土地は第2次大戦後のインフレによって価格が高騰し,含み価値は現在,10兆円を上回るともいわれる。 これに対し,義明の異母兄,堤清二に率いられるセゾングループは(株)西武百貨店,(株)西友,(株)パルコ,(株)クレディセゾン(旧,(株)緑屋)など約100社から成るが,その内容の大部分は清二の代になってから形成された。グループの連結売上高は約1兆3000億円(1996年度)。…

※「堤清二」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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