壊・毀(読み)こわす

精選版 日本国語大辞典 「壊・毀」の意味・読み・例文・類語

こわ・す こはす【壊・毀】

〘他サ五(四)〙
① ものに力を加えて、本来の形をくずして使えなくする。破壊する。やぶる。くだく。こぼつ。
※古文真宝笑雲抄(1525)四「不孝の者が墓をほりこはいて、重宝を取んと思ぞ」
② もとの機能をだめにする。機能をそこなう。障害をおこさせる。故障させる。
多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前「酒の無理と、炬燵を離れぬのと、寐てばかりゐるのとで、胃と脳とを害(コハ)して」
③ 組織したもの、計画したことなどをだめにする。つぶす。
※和英語林集成(初版)(1867)「シンショヲ kowasz(コワス)
※今年竹(1919‐27)〈里見弴〉たちぎき「家庭を毀すことは、やがて己自身を毀して了ふことだ」
高額貨幣小額の貨幣にかえる。両替する。くずす。
※浅草日記(1930)〈川端康成〉「こわしてくれと十円札を預けて、とにかく五十銭だけ貰って来たんだ」

こわ・れる こはれる【壊・毀】

〘自ラ下一〙 こは・る 〘自ラ下二〙
① 物の形がくずれる。くだける。破れる。破損する。
※俳諧・炭俵(1694)下「帯ときながら水風呂(すゐふろ)をまつ〈孤屋〉 君来ねばこはれ次第の家となり〈其角〉」
② 物の機能がだめになる。役に立たなくなる。故障する。
※青い月曜日(1965‐67)〈開高健〉二「電鈴がこわれたままなので授業終始をそうやって知らせているのである」
約束や計画などがだめになる。物事がまとまらない。不成立に終わる。
※良人の自白(1904‐06)〈木下尚江〉後「何程(いくら)縁談が持ち上っても直ぐ壊れて仕舞ふのは」
④ 高額の紙幣・貨幣を、小額の貨幣で両替できる。くずれる。

こわれ こはれ【壊・毀】

〘名〙 (動詞「こわれる(壊)」の連用形名詞化) こわれたり、くずれたりすること。また、こわれたもの、ところ。
※やみ夜(1895)〈樋口一葉一二三月ばかりの後、門は立派に敷石のこわれも直りて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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