夕(漢字)

普及版 字通 「夕(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 3画

[字音] セキ
[字訓] ゆうべ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
夕の月の形。〔説文七上に「(くれ)なり。ば見ゆるに從ふ」と半月の象とする。卜辞に「卜夕」とよばれるものがあり、王のために毎夕「今夕、(とが)(な)きか」と卜しており、わが国平安期の毎日招魂の礼に近い。殷周期には古く朝夕の礼があり、金文に「夙夕(しゆくせき)を(つつし)む」という語がみえ、夙夕に政務が行われた。また大采・小采といい、そのとき会食し、同時に政務をとった。その大采の礼を朝といい、朝政という。〔国語、魯語下〕にも「少に夕す」とあって、その古儀を伝えている。

[訓義]
1. ゆう、ゆうべ。
2. よる、あけがた。
3. 月を迎え祭る礼、ゆうべす。
4. 昔と通じ、昔を夕の意に用いる。

[古辞書の訓]
名義抄〕夕 ユフベ・ヨヒ 〔字鏡集〕夕 ユフベ・ヨル・ヨヒ

[部首]
〔説文〕〔玉〕に夜・(夢)・・外・の八字を属し、また多を重夕の意とする。(えん)は宛然として坐する膝の肉の形。(いん)・外・(しゆく)の従うところはおそらく肉の形、多も肉片を重ねる形で、日夕の意ではない。

[声系]
〔説文〕穴部七下に「(せき)は(ちゆんせき)なり」とあり、長く葬ることをいう。夕声に従うのは、(墓)が(ぼ)声に従うのと同じであろう。

[語系]
夕・汐zyakは同声。朝には潮といい、夕には汐という。昔syak、夜jyakも声近く、同系の語である。それで昔を夕に借用し、疇夕昨夜)を疇昔のようにいう。

[熟語]
夕靄・夕衣・夕陰・夕飲・夕・夕映・夕影・夕煙・夕・夕花・夕霞夕臥夕暉・夕気・夕輝・夕夕景夕月夕鼓・夕光・夕紅夕灑・夕夕爨・夕市・夕室夕日・夕者・夕鐘・夕照・夕殿・夕・夕波夕霏夕寐夕氛・夕浦・夕暮夕烽・夕霧・夕陽・夕嵐・夕麗・夕露・夕浪・夕話
[下接語]
一夕・佳夕・夕・暁夕・夕・景夕・元夕・今夕・歳夕・山夕・七夕・秋夕・終夕・宿夕・除夕・晨夕・霽夕・旦夕・昼夕・朝夕・通夕・当夕・日夕・明夕・幽夕

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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