精選版 日本国語大辞典 「外・他」の意味・読み・例文・類語
ほか【外・他】
[1] 〘名〙
① 空間的・平面的に、ある範囲や区画・限界などのそとがわの部分。そとがわの場所。そと。
② ある場所以外のところ。よそ。別の場所や方角。
③ ある社会・仲間・機関など、限られた世界以外の世界。その外部の世界。よそ。
(イ) 世間。外界。また、外部。
※源氏(1001‐14頃)東屋「されど、うちうちにこそ、かく思へ、ほかの音ぎきは、守の子とも思ひ分かず」
(ロ) 外国。
※浜松中納言(11C中)二「かくほかの世に生まれたるひとと知られては」
(ハ) 仏教以外の教え。特に、儒教。
※中院本平家(13C前)二「うちには五かいをたもちて、慈悲をさきとし、ほかには五常をみだらず」
④ それ以外の物や事柄や時間。別。
(イ) それ以外の事柄、人、物。別の物事や人。
※書紀(720)大化二年三月(北野本訓)「自余(これより)以外(ホカ)は恐らくは私に駈役(つかはむ)ことを」
(ロ) それ以外の時。別の機会。
※蜻蛉(974頃)下「廿七八日のほどに、土(つち)犯すとて、ほかなる夜しも、めづらしきことありけるを」
※読本・雨月物語(1776)菊花の約「氏綱は外(ホカ)勇にして内怯(をびへ)たる愚将なれば」
⑥ (形動) 程度や事柄が、ある基準のそとにあること。また、そのさま。
(イ) 考えていたことと全く違うこと。
※歌舞伎・櫓太鼓鳴音吉原(1866)七幕「何ぼ思案の外(ほか)だといって、あんまりそれぢゃあ外(ホカ)すぎる」
(ロ) 道徳・倫理などにはずれること。不道徳なこと。よこしまなこと。また、そのさま。
※浮世草子・好色一代女(1686)四「一切の娌子(よめこ)浮気になりて外(ホカ)なる心も是よりおこりぬ」
(ハ) 問題外なこと。とるに足りないこと。とんでもないこと。また、そのさま。
※浮世草子・椀久一世(1685)上「されども町の女の風俗は外なり。色里のよき事見馴れてそれには何かつづくべし」
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