外国為替資金特別会計(読み)ガイコクカワセシキントクベツカイケイ

デジタル大辞泉 「外国為替資金特別会計」の意味・読み・例文・類語

がいこくかわせしきん‐とくべつかいけい〔グワイコクかはせシキントクベツクワイケイ〕【外国為替資金特別会計】

政府が行う外国為替などの売買やそれに伴う取引を円滑に行うための外国為替資金を、一般会計と区別して管理するための特別会計。昭和26年(1951)に「外国為替資金特別会計法」に基づいて設置された。財務大臣が管理する。外国為替相場を安定させるために日本銀行が行う為替介入の資金に充てられるほか、政府が保有する外国為替等の管理、国際通貨基金IMF)への出資などにも使用される。円売り介入の場合、政府短期証券の一つである外国為替資金証券を発行して調達した円貨外国為替市場で売却して外貨を購入し、米国債などの外貨建て債券などとして運用する。円買い介入の場合、外貨建て債券の売却などによって調達した外貨を外国為替市場で売却して円貨を購入し、外国為替資金証券の償還に充てる。運用収支は外国為替資金特別会計の歳入歳出として計上され、積立金を控除した利益が一般会計に繰入れられる。外為特会外為会計
[補説]平成20年度(2008)政府予算案作成時に外国為替資金・財政融資資金などの特別会計に計上されている準備金(積立金)が、「霞が関埋蔵金」として話題になった。

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改訂新版 世界大百科事典 「外国為替資金特別会計」の意味・わかりやすい解説

外国為替資金特別会計 (がいこくかわせしきんとくべつかいけい)

外国為替資金特別会計法(1951公布)に基づいて設置された特別会計で,日本政府が行う外国為替等の売買およびそれに伴う円貨の受払いを円滑にするため,1951年4月に設けられた。外為会計と略称される。この会計が設置される以前は,1949年12月に設けられた外国為替特別会計では,外国為替の売買益や経費のみならず,外国為替の売買自体をも予算に計上していたが,これに代わって設けられた外国為替資金特別会計では,外国為替の売買自体は外国為替資金(外国通貨による在外資金)という回転基金の受払いと切り離して,売買益や経費だけを予算に計上することとなった。外国為替資金が保有する外貨は,主として外貨証券投資や外国銀行への預金で運用されているが,その一部は日本の外国為替銀行にも預託されている。このような預金は大蔵大臣名義で行われることから,その預金勘定を〈大蔵大臣勘定Minister of Finance Account〉(モフ勘定MOF a/cと略称)と呼んでいる。外国為替資金が外貨を購入するために必要な円資金は,一般会計からの繰入金外国為替資金証券外為証券または為券(ためけん)と略称)の発行,日本銀行からの借入金,あるいは日本銀行への外貨売却などによって調達される。日本銀行は大蔵大臣の代理人として,外国為替資金により外国為替市場に介入して外貨の売買を行い,為替相場に影響を与える。このような通貨当局による介入は,為替平衡操作あるいは単に平衡操作と呼ばれる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「外国為替資金特別会計」の意味・わかりやすい解説

外国為替資金特別会計
がいこくかわせしきんとくべつかいけい

わが国の国際収支に伴う外貨ならびに円貨の受払いを経理する特別会計であり、1951年(昭和26)4月に設置された。この特別会計は外国為替の売買を目的とするが、予算上、外国為替の売買益や経費だけが計上され、売買自体は計上されない。これは、年度間の外貨売買額をあらかじめ予測して予算に計上することが困難であるだけでなく、予算の枠に縛られて外貨売買取引の弾力的・機動的遂行に支障をきたすおそれがあるからである。

 外国為替資金の円資金は、一般会計からの繰入金などの自己資本と、外国為替資金証券の発行および日本銀行からの借入金などの他人資本とからなっている。この外国為替資金は国際収支の動向および外貨準備高に応じて変動し、資金需給を通じてわが国の金融市場の繁閑およびマネーサプライに影響を与えるので、金融政策面で重視される。また外国為替資金証券は、政府短期証券の発行残高の大部分を占めるため、その発行方式および条件は政府の国債管理政策面で重要である。

[藤野次雄]

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百科事典マイペディア 「外国為替資金特別会計」の意味・わかりやすい解説

外国為替資金特別会計【がいこくかわせしきんとくべつかいけい】

日本の国際収支に伴う外国為替を集中管理するための特別会計。1951年設置。輸出等で得た外国為替の一定限度までは為替銀行や商社が保有できるが,それ以上はこの会計に売却する。その円資金は,一般会計からの繰入金,外国為替資金証券の発行,日本銀行からの借入金等からなる。逆に輸入等に必要な外貨は為替銀行を通じて民間に売却され,円貨がこの会計に集中される。
→関連項目市場介入モフ勘定

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「外国為替資金特別会計」の意味・わかりやすい解説

外国為替資金特別会計
がいこくかわせしきんとくべつかいけい

外為特別会計とも略称され,外国為替資金特別会計法 (昭和 26年法律 56号) に基づいて,1951年3月に設立された政府の特別会計の1つ。運営は日本銀行があたっている。政府による外国為替などの売買およびこれに伴う取引を円滑に行うことを目的とする。為替市場が乱高下した際の日銀の為替介入や,G7など国際的な合意に基づく協調介入などの資金として用いられる。

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