多気(町)(読み)たき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「多気(町)」の意味・わかりやすい解説

多気(町)
たき

三重県中部、多気郡にある町。1955年(昭和30)相可(おうか)町と佐奈(さな)、津田(つだ)の2村が合併して成立。町名は古代からの郡名にちなむ。1959年西外城田(にしときだ)村を編入。2006年(平成18)勢和村(せいわむら)を合併。町の北部を櫛田川(くしだがわ)、南東部宮川が東流し、東部は両河川間の沖積地で水田が開け、中部から西部は丘陵地・山地ミカン、カキ、茶などを産し、ヤマノイモの一種伊勢(いせ)イモは特産品。多気ニュータウンなど住宅地化も進行、1995年には多気工業団地にシャープ三重工場(現、シャープディスプレイテクノロジー三重事業所)が完成した。国道42号、368号とJR紀勢本線が通じ、参宮線を分岐する。また、勢和多気ジャンクションで伊勢自動車道と紀勢自動車道が接続している。古墳や古窯跡が多く、中世には神宮領で御園(みその)、御厨(みくりや)であった所が多い。近世では紀州藩田丸領、松坂領、神宮領などに属した。中心集落の相可は熊野街道と参宮街道の合する宿場、交易集落として栄えた。町の東部にある五桂池(ごかつらいけ)は県下一の灌漑溜池(かんがいためいけ)で、紀州藩が人足延べ1万余を使役し5年をかけて1678年(延宝6)に完成したもので、120ヘクタールの水田を潤す。池の近くには観光農園や動物広場などがある「五桂池ふるさと村」がつくられている。普賢寺(ふげんじ)や近長谷寺(きんちょうこくじ)には国指定重要文化財の仏像がある。面積103.06平方キロメートル、人口1万4021(2020)。

[伊藤達雄]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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