大多喜(町)(読み)おおたき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「大多喜(町)」の意味・わかりやすい解説

大多喜(町)
おおたき

千葉県南東部、夷隅郡(いすみぐん)にある町。1889年(明治22)町制施行。1954年(昭和29)上瀑(かみたき)村、総元(ふさもと)村、西畑(にしはた)村、老川(おいかわ)村の4村と合併した。房総(ぼうそう)丘陵の山間部、夷隅川の上・中流、および養老(ようろう)川の上流にある。いすみ鉄道、小湊(こみなと)鉄道(私鉄)と国道297号、465号が通じ、東京湾岸と外房(そとぼう)とを連絡している。中世末期に武田氏が大多喜根古屋(ねごや)(根小屋)城を築いたが、のち正木氏に引き継がれた。1590年(天正18)徳川家康の家臣本多忠勝(ただかつ)が10万石で入封し、大多喜城を築いた。その後領主の交代を経て1703年(元禄16)に松平大河内(おおこうち))氏が2万石で移封されて幕末に至った。夷隅川上流の谷底平野では米が生産されるが、天然ガスの採取も行われている。1975年(昭和50)に復原された天守閣の内部は県立中央博物館大多喜城分館となっており、また久保にある国指定重要文化財渡辺家住宅は商家の構造をよく伝えている。養老渓谷アジサイの咲く麻綿原高原(まめんばらこうげん)など観光資源に富む。面積129.87平方キロメートル、人口8885(2020)。

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